幽霊話
★★★☆☆
五篇の短編集。
表題作の「幽霊博物館」は怖いというフレコミの装丁となっている。
しかし、この作品はあまり怖くはなく、幽霊話で貫かれていて、結末自体も曖昧。
物語の推理性は、それなりのものだが、結末は「何だこれ?」という印象だ。
「火葬場の煙はななめに上がる」は、想定そのものが傑作だ。
何しろ、火葬場で今焼かれているはずの人物が、こちらに向かって、手を合わせているのだから。
それなら、今焼かれているのは、誰の死体なのか?
非常に面白い展開を見せる。
著者は時々、軽妙な文体で、非常に残酷な内容の作品を著わす。
むしろ、そのアンバランスさに、怖さを感じる。
ただ、本書の表題作は、あまり怖くなかったので、星3つとした。