インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
新鮮なミステリー論 ★★★★☆
一気に読みました。
いわゆる古典が主に取り上げられていますが、おなじみのドイル、チェスタトン、クリスティーが
このような共通の一本の線でつながっていたのだと教えられ、感心しました。

特に「アクロイド殺し」は、事件は地味だが本当に名作なのだなと評価を改めました。

また日本の探偵小説は、派手な連続殺人を扱っても、過去からの因縁話が登場する展開が多く、その点
英国ミステリーに近いのだろうか?と著者に尋ねてみたいと思いました。

これまで古臭い作品だろうと、興味のなかったコリンズやディケンズの作品も機会があれば読みたいと
思います。とにかく古典ミステリー好きにはお薦めの本です。
上質な英国ミステリー案内 ★★★★☆
本書は、「人間学」をキー概念として、英国ミステリー小説を読み解こうという本です。
本書を読むと、イギリスのミステリー作家が、いかに人間通であったか、良く分かります。
本書は、切り口を「人間学」に絞ることで、各作家、各小説の分析に深みを与えることに成功しました。
本書を読み終えて、私も、アーサー・コナン・ドイルや、アガサ・クリスティーを、読み返したくなりました。
イギリス古典ミステリーから読み解く「人間」 ★★★★☆
英文学を専攻とする著者が、イギリスの古典ミステリーをテキストとして
そこにあらわれる「人間性」を軸に、文学として読み解いた本。
メインでとりあげられる小説の著者は
ディケンズ、コリンズ、コナン・ドイル、チェスタトン、クリスティーです。

ミステリーの楽しみ方は人それぞれでしょうが、名作といわれる作品には
トリックの驚きと登場人物の人間性という、二つの大きな楽しみがあります。
この本では、その「人間性」という観点からそれぞれのテキストに注目しています。

ミステリーでは主に重犯罪にまつわる謎が主題として取り扱われていますが
犯罪が大きな焦点となりうる平和な世界が、前提条件として存在しています。
特に古典探偵小説では、箱庭のように整えられた世界に事件という異質な状況が紛れ込み
探偵はそれを取り除き、平素の状況に戻すために調査にあたります。
その中で、重い罪を犯した人間の人間性や、罪がもたらす精神状況、
それを取り巻く周囲の人々の思考や秘密などが暴かれ、描かれます。
犯罪という特異な状況が炙り出す「人間性」は、特殊なようでいて
(偏向性はあるものの)普遍的な「人間性」が描かれている……、
クリスティが生み出したミス・マープルの口癖のような論が面白かったです。

なおこの本では、登場する小説のあらすじが紹介されているため
トリックも充分堪能したい方は、未読の作品にご注意ください。


「人間学」の追及 ★★★★☆
「探偵小説」が文学作品足りうるか?と言う古くて新しい問題から初めて、その中でも「人間学」(人間心理の謎)の追及と言う共通点を持つ英国の古典と言われる「探偵小説」を分析して行きます。

チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズ、アーサー・コナン・ドイル、G・K・チェスタートン、アガサウティーの5人です。
彼らの代表作を次々に分析し、それらの作品がいかにその登場人物たちの人間性を重視した作品になっているかを指摘して行きます。
もちろん、それぞれの作家によって特徴はあるのですが、それでもこの5人がお互いを意識しつつ書いていることから、別の切り口から「人間学」を追及している訳です。

この分析は、非常に鋭く、なるほどと納得させられるところが非常に多いのですが、ここに取り上げられた作品はすべてネタばらしされています。
従って、それを承知で読まないと、これから該当の作品を読もうとする人は、後で後悔することになります。
最も、作者はこれらの作品が再読が効く、優れた作品であると確信しているからこそ、こうした手法を取っているのでしょう。
ミステリーを、あえてアカデミックに☆ ★★★★☆
本書は英文学を専門とし、京都大学教授である著者が

学者によって論じられることがほとんどないミステリーについて

英文学全体に占める位置などを考察しながら

その魅力の秘密に迫る著作です。


一般にミステリーというと注目されるのは

思いもよらないトリックや、登場人物をも欺く構成の妙。

しかし著者が注目するのは、そうした表層ではなく

作品全体を通底する人間に対する深い洞察などの「文学的」な要素。


本書では、文学的・人間学的な側面に注目しつつ

ディケンズやコナン・ドイル、チェスタトン、アガサクリスティー

などイギリス探偵小説の代表作を読み解き

そこに描かれた犯罪そのものや

それを引き起こす社会や人間性に対するまなざしが

どのように変化したのかを検討します。



個人的には著者のいう「人間学」、「人間性」なるものが

ピンとこなかったり、鼻についたりして

いまいち乗り切れない箇所もあったのですが

そういう点も含めて、

アカデミックに探偵小説を論じるとこうなるのかぁ

―と、とても興味深く読みました。


純粋にミステリーが好きな方にはちょっと・・なのですが

アカデミックな立場からの評論や、

英文学全般に興味がある方にはおススメの著作です☆