■シャカ族の王子として生まれた釈迦。彼は、29歳のとき妻子を捨て、家も王位も捨て、悟りを得るための旅に出る。36歳で悟りを開き、弟子が次々に増えた。後に我が子と弟を出家させる(さらにその後、継母も妻も出家し尼僧になる)。反逆者の出現や、苦しみ煩悶しながら死んでいった弟子達の思い出も語られる。
■この旅で釈迦は命を落とす。純朴な鍛冶屋チュンダのもてなした食事に誤って毒キノコが入っていたのだ。死期の近いことを自覚した釈迦は、チュンダに背負われ、クシナーラーという地を目指す。そして、同地でアーナンダに最後の言葉を伝えた後、涅槃に入るのである。駆けつけた五百人の僧達によって荼毘に付される釈迦……。入滅に至る一連の描写は極めて美しい。
■荘厳な輝きに満ちた書物。