素晴らしい本です!
★★★★★
薄い本で、内容も簡潔だが、そこに示されている事実は衝撃的で、提言は極めて実践的である。
私たちは、1 日約 20,000 回ほど、肯定的または否定的な印象を与える独立した瞬間(モーメント)に遭遇するそうである。個々のモーメントは、ほんの 2 〜 3 秒に過ぎず、ほとんど気づかないような微かなものだが、その影響は重大である。
たとえば、肯定的と否定的の比率が 5 対 1 を超えて 1 対 1 に近づくと、結婚生活は持続しないという。互いに否定的なモーメントを与え合っている夫婦は仲が悪い、というのは、それ自体は当たり前のことだが、驚くべきことは、この比率の普遍性である。700 組ほどの新婚夫婦の会話を僅か 15 分間ビデオに録り、そのモーメントを数えて 5 対 1 の比率に当てはめ、離婚するかどうかを予測し、10 年後に追跡調査をしたところ、何と 94% の正確さで予測が的中したという。
ある職場で働き続けるか離職するかの境界となる肯定的と否定的の比率は、3 対 1 だという。
こうした肯定的または否定的なモーメントは、仕事の生産性にも大きく影響し、また、個人の健康に与える影響は、喫煙よりも大きいという。
したがって、日々、肯定的なモーメントを増やしていかなければならないのだが、本書の提言は、非常にシンプルで、誰でもすぐに取り組める実践的なものになっている。バケツにひしゃくで水を入れるか出すか、という比喩も分かりやすい。
私は、日本語の翻訳は出ていないと思っていたが、日本経済新聞社から、「心のなかの幸福のバケツ」という翻訳も出ているようである。
でも、実質 100 ページ弱の薄い本で、英語の表現も簡潔でとても読みやすいので、原書でも、多くの人が十分に読み通せると思う。1 人でも多くの人に読んで欲しい、と思える本である。