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寺社勢力の中世―無縁・有縁・移民 (ちくま新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 筑摩書房
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中世の都市が経済都市というのが、おもしろい。 ★★★★★
 日本の中世史を解説しているが、西暦で年代が統一されているおもしろさを感じる。
 著者個人の主観なのか、年月の流れを数値的に把握するための意図的なものかは判断できないが。
 さらに、こういう類にありがちなコチコチではなく、キャラクターか、故意かは不明だが、口語調で意見が述べられている。
 不思議に、教科書には出てこない事実が書き並べてあるが、これで新書というおもしろさ。

 不可侵の宗教世界だけに、寺社勢力に踏み込んだ意見は呈しがたいが、本書はあらゆる方向から歴史をみることを提唱している。
 寺社という隠れ蓑を纏って、経済活動をする都市。そこに集う「無縁」と呼ばれる人々。まるで、現代の日本の都市生活を覗いているかのようだった。
 簡明に著者は解説しているが、日本の歴史に興味のない方には興味は湧かないかもしれない。

 なお、51ページに「博多どんたく」が博多祇園会の別称と記してあるが、これは「博多祇園山笠」の間違いなのでは。
生活の場としての「境内」 ★★★★☆
寺内町、門前町、という、寺社(聖)と人々(俗)とが生活する場は、あくまで江戸時代以降にできたのだろうな、というのが、まずぼんやりと読みながら思ったことでした。

ここに描かれる「無縁」の世界というのは、残酷で、悲しいくらい自由で、妙にハードボイルド(爆)。そういう生臭い「営み」が、文書から読み解けるとは、歴史を読むことがなんと魅力のあることか!

文書の残存度合や、実社会での存在感からいって、寺社勢力を基点に中世を描くのが王道、との著者の主張を、支持するとともに
それ以上に、「全体社会」へ占める「政府」の位置が揺らぎつつある現在に、「現代社会(国民国家が座を占める社会)と異なる社会像」をしっかり提示しようとする著者の問題意識にも、共感しました。
生々しい寺社勢力 ★★★★★
 中世という社会において、寺社勢力が公的権力(幕府、朝廷)を凌駕する権勢をふるい、そこではあらゆる文化や情報、学問が蓄えられ、振るっていたことを同時代史料から暴き出す。経済、政治、宗教など様々な原理が多元的に入り乱れ、一種の「カオス」的空間であるそこは、清濁併せのんだなんともいえないあやしさを醸し出して胃が、しかしまた一種の魅力を感じてしまうのも事実である。
 おそろしいまでのエネルギーがあふれたそれは、信長、秀吉らの統一政権によって終焉を迎える。しかしそんな「無縁」を求める人間の欲望はいつでも存在するし、そこからしか文化や文芸は生まれないという。そして今我々がさまよう「インターネット」世界は現代の「無縁」の場だという。言い得て妙であり、腑にストンと落ちた。
 やや筆者の書き方が独特であるが、考えてみれば本書のテーマにふさわしいものであろう。
聖権都市 ★★★★★
著者の伊藤さんは、「おわりに」でこうおっしゃっています。
<「境内都市」というのはどうも語感が悪い。善い言葉を思いつかないので使っているが、自分でも気に入っていない。学会では「境内町」と呼ぶ人がいるが、門前町と似たようなイメージがあり、(中世の)日本の経済センターを呼ぶ言葉としては弱い感じがする。・・・読者にお願いがある。よいネームを考えていただきたい。よろしくお願いします。>
と。
そこで、小生は
「聖権都市」
のネーミングを一票。規模感と、なまぐさ感を兼ね備えていると自画自賛しておきます。
日本史の空白部分を埋めてくれた本 ★★★★★
1070から1588年までを著者は「中世」としています。著者の指摘するように、この時代について日本史の教科書では「幕府と朝廷」といった政治の話が主体でした。そのため戦国時代への移行に不自然さを感じていました。
しかし本書では経済や文化といった面から500年間の流れを示し、ダイナミックな歴史の筋道を示してくれます。特に「境内都市」という社会形態は説得力があり、宗教や寺社など、歴史を理解するのに現在の常識のままでは通用しないことがよくわかりました。またその違いを知らないでいては歴史を流れとして捉えることはできません。そういった意味で本書は私の日本史の空白部分を埋めてくれた本といえます。
いつも通りの素早い対応に感謝します! ★★★★★
幾度目かの注文でしたが、いつもAmazon並みに早く届くので、読みたいとこに読めて助かっています。中世の寺社勢力の研究は網野喜彦さん(故人)の著作をはじめ、大変魅力的な分野で、この書籍で新たに開眼できました。