職人文化が育んだ京都型ビジネス
★★★★☆
長寿かつユニークな企業が多い京都の企業の強みを分析した本。
著者は、元野村総合研究所の証券アナリスト。
京都の西陣育ちで、現在は同志社大学ビジネススクールで
「伝統産業グローバル革新塾」の塾長を務めていらっしゃる方です。
京都というと和文化を支える企業がすぐに頭に思いつきます。
実際、京焼きやお香、京料理のお店など老舗のお店も多く
長寿企業が多い日本においても、群をぬいた長寿を誇る企業が連なります。
一方で任天堂や京セラ、オムロン、島津製作所など
独自の戦略と技術で、世界に名だたる企業もあります。
著者はそれらの京都型企業の強みである独創性と継続性を
京都の職人が長年育んできた独特の「職人文化」にあると考え、分析します。
それは、顔を見る経営と切磋琢磨、独創性による付加価値向上、
継続のための革新、という三つの要素です。
京料理の菊乃井やCG友禅を手掛ける川邊祐之亮などの同志社大学での講演や
ビジネススクールにおける京都の企業人の生の声が見られ、興味深かったです。
著者本人も述べていらっしゃるとおり、京都のよい面ばかり注目した本でもありますが
一言で創業100年、200年といわれる企業を継続させる人々の苦労や誇りが
いきいきと語られていて、嬉しかったです。