もう一つの話は高校三年生時の真木と浦里の話。
真木の浦里に対する想いと、それが伝わらない切なさが描かれている。
『鳩の栖』では浦里視点だったのですが、真木の想いを知ってから読み返すと
浦里の処に真木が駆けつけて来てくれたり、セリフや細かい処で真木の想いが解って新鮮な感じがします。
どの作品中でも浦里が真木の気持ちに巧く気づかないところもまたいいです。
最後の作品は見開き二ページのみ。
しかしこの中に、これからの二人を予感させる要素が詰まってると思います。
贅沢を言うと、知らせが届いたときの真木の気持ちをもっと知りたかったです。
私的に真木と浦里には幸せになって欲しい。
頭では望んではいけないと分かっているものを、
それでも心は欲している。そんな切ない真木の告白に惹かれます。
浦里は相変わらず鈍感なのですが、
真木にも浦里にも少しづつ変化が訪れる・・・、
そんな風に感じられる。
前二作を読んでいなくても楽しめる本です。
前作を読んだ方にももちろんお薦めです。
少し大人になった二人をぜひ見てください。
同じ「紺」でも、前回は透明で爽やかな感じがしましたが、今回はなんともダークで淫靡な趣。
全部で三章から構成されていますが、最後の章はわずか見開き2ページ分しかなく、やや物足らない印象を受けました(それで☆一つ減らしました)。
でも、かえってそのことが、今後この2人の物語は続くのだということを暗示しているかのようにも思えます。
果たして真木の思いは浦里に届くのか、それが知りたいところです。