妖艶かつ大胆な
★★★★★
ゲルギエフは基本的に賛否が真っ二つに別れるようでどのCDのレビューを見ても大体真っ二つ、ある意味面白い指揮者である。
シェエラザードも他の録音同様ゲルギエフらしく豪快に、いわゆるロシア的な演奏しているが、ヴァイオリンソロの部分はとてもエロティックに奏されており、妖艶なソロと大胆なトゥッティの対比が大変面白い。
個人的にはとても気に入っている。
最低です
★☆☆☆☆
この指揮者の最大の欠点は、速く演奏するところを見せ場とすることです。
ショスタコーヴィッチ7番「レニングラード」の1楽章の狂気のスピードと同じ
シェエラザードを見事にぶち壊しています。一度聴いて怒りを覚えました。
案の定、ロンドン交響楽団に移ってからもろくな演奏を残していません。
マーラーシリーズも狂気のスピード連発で全部ダメ!
ロシア的な演奏をお望みならコンドラシン指揮アムステルダム・ロイヤル・コンセルトヘボウをお勧め。
秀演ですが二番煎じです
★★★★☆
とても優れた、面白い演奏です。ロシア情緒に溢れ、ゲルギエフのエネルギッシュな指揮振りも目に浮かぶようで、とても臨場感のある録音です。でも、基本的には、打楽器と弦・管楽器のバランスを整えた以外、基本的な構造・解釈はフェドセーエフ(ヴィクターの録音版)の解釈と酷似しています。ヴァイオリン・ソロの演奏スタイルは多少違いますが、テンポ設定やアーティキュレーションの指示などは、そっくりです。ゲルギエフの、この演奏を先に聴くと、いかにも、この演奏が他の演奏家の演奏と格段に異なっているように聞こえますが、ぜひ、フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団の演奏を聴いてみて下さい。
あくまでも、「似ている」ことを指摘しているもので、ゲルギエフの演奏の価値を否定しているのではありません。この演奏は、これで優れていることに間違いはありませんし、私も好きです。でも、この解釈が「突然変異」のように、いきなり現れたものではないことを指摘させていただいているだけですので、誤解のないように、お願いします。
夜は深く、舞いは優美に。
★★★★☆
シャルル・デュトワ指揮の『シェエラザード』を持っていた
良い演奏だが、どこかもの足りない
そこでゲルギエフを聴いた
音による千夜一夜というのはこういうものだろう
砂漠の天幕の下で繰り広げられる物語り
相手は絶大な権力を持つカリフ
女性不信ゆえ、一夜を共にすると、その夜に殺めてしまう
そうさせないために毎夜続く、王との物語り
交響曲の第1楽章は、海とシンドバットと航海が描かれる
王の頭の中に広がった海は
実際の海にもまして荒れ狂っていただろう
有名な美麗旋律が活躍する第1、第2楽章はもちろんだが
第3楽章がとても優美に鳴り響く
この演奏は、楽器が鳴っている時間の持続が美しい
雑音がまったくなく、ホールの残響の味わいが
弦の音が伸びて消えていくところまできちんと聴き取れる
その澄んだ闇の中に
ソロヴァイオリンの旋律が浮かび上がり
荒波に呑み込まれていく
これこそアラビアンナイトだろう