彼の作品は、宗教音楽のジャンルに入るのですが、ポピュラー音楽のようなとても親しみやすいメロディーとハーモニーを持っています。現代的なリズムもとり入れていますが、難解な現代合唱曲とは根本的に性格が違います。
特に、このCDに収められている「Anthems (賛歌、賛美歌、聖歌)」の清らかさ、敬虔さ、は類を見ません。その比較的簡単な譜面から得られる感動は、限りなく多くの人を魅了し続けています。
これは、彼の指揮による自作の代表的な聖歌を1983年から2002年にかけて演奏したものです。合唱のケンブリッジ・シンガーズは、ボーイ・ソプラノを思わせるような透明感あるソプラノですので、現代の宗教音楽にはピッタリの声質です。男声もたっぷりした合唱で感心しました。大変上手な合唱団ですね。このような演奏は日本の合唱団ではなかなか聴くことが出来ないと思います。
ジョン・ラターは、その後も現代の感覚に合う作品を次々と生み出しています。とても温かく、感動的で、合唱の喜びが至るところから感じられる作品群です。
日本の多くの合唱好きに聴いてほしいものです。