相変わらずのユーモアに加え辛辣さも…
★★★★☆
前作から引き続き猫山先生は開業に向け着々と準備を進める。
その過程はユーモアをちりばめつつもかなり詳細でリアルな描写で、
シビアな現実を見せつける。
既に開業し経営難で凄惨な状況に陥った奈良野先生は更に
貧困を極めているが、自虐ネタが軌道に乗ってしまった感あり。
訴訟や医療費削減による経営難など、我が国の医療を取り巻く困難な現状に関する
ネタはかなり具体的な描写で、且つ若干前作より量的にも増加したような印象。
我が国の医療が日に日に崩壊へ近付いているということを象徴しているかのようで、
そのあたりのシニカルな話題は少し読み手を選ぶかも知れない。
前作からの登場人物はみな変わらずそれぞれの人生を精一杯生きており、
笑いあり涙あり家族の愛ありで人生の縮図を見る思いだが、
それ故に其々の人生の明暗にくっきりと差が出てきており
読後にちょっとシンミリしてしまう。
巻末には番外編として猫山先生が巨大ヒーローに変身する(?)漫画が掲載されている。
カリカチュアというかパロディというか、医療を取り巻く諸問題と
徒手空拳で戦う医師の現状をかなり辛辣に風刺した内容で、純粋な漫画として見ると
いささか破綻しているようにも思うが、作者のファンであれば一読の価値あり。