統計学や意思決定科学分野で数多くの魅力的な入門書を世に送られているのが著者松原先生である。本書も松原先生の該博な知識と長年の教育経験が存分に生かされており、読者を意思決定科学に誘う魅力を備えている。ただ、内容は多方面のテーマがオムニバス的に展開されているため、平均的な学生やビジネスパースンが本書の論述を正確にフォローするのは難業だろう。読者の多くは、本書が取り上げるそれぞれのテーマについて別の参考書が必要になる。巻末に詳細な参考文献リストが付けられているのは、読者が各論へ進むガイドブックとしての役割を著者自身意図されているのだろう。

ベイズ統計と，ゲーム理論について展開して，リスク，エントロピー，社会選択理論についても章を割いている。
なんといっても，この本の読みどころは，ベイズの理論だろう。現在世界で，ネイマンピアソンの統計学よりも受け入れられつつあるベイズ統計学は，まだまだ日本語の良書が少ない。ある程度数学アレルギーのない人ならば、この本からベイズ統計学に入っていくのもいいと思う。