他の方々も指摘されている通り、映像が素晴らしいです。
フェルメールの光と影の世界を再現するのに、ワンシーンに一体どれほどの時間をかけたのか。
照明、カメラマンなどの苦心が想像できます。
空、町などのワンシーンひとつでもすごいものです。
俳優陣も素晴らしかったですね。
コリン・ファースが演じるフェルメールは、創造する芸術家の狂気と苦心を表し、
パトロンを演じるトム・ウィルキンソンも、別な方向から「美」に対する異常な
執着心を演じて、「うーん」とうなりました。
そしてグリートのスカーレット・ヨハンソン。
最初は自分の心を見せることを拒否しながら、次第に変わっていく彼女の表情。
褒然としてみとれてしまいました。
そして、フェルメールに魅かれながらも、フェルメールは彼自身の「美」の対象として、
自分をみていたことを知るラストシーンは見事でした。
アメリカ人の役者が入ると、ヨーロッパを描く映画は、変なモノになることが多いのですが、
この映画はオランダが伸びている時代をも見事に感じさせる作品でした。

淡々と進むストーリーながら、フェルメールと召使の少女の緊迫感あふれる関係が印象的です。スカーレット・ヨハンソンの魅力にノックアウトされてしまうこと間違いなし。

私は過去に偶然、少女のこの絵画を見たことがある。もちろん本に掲載されたものではあるけど・・確かにウマイと感じた。その程度だった。しかし、この映画を鑑賞してからと言うもの深い意味があったことが理解できて大変勉強になった。とりわけ、真珠の耳飾りをするわけとか、描かなければならないフェルメールの心境や嫉妬に渦巻く妻などの葛藤があればこそ、重厚な深みがさらに理解できるのである。
少女（グリート）の目線で見た、光と影、顔料の作り方などを誘ってくれるので、ナニも知らない私を引きつけてくれたね。こんなに素晴らしい物語を見たのは久しぶりだ。賞にからむ作品は絶対に見逃せないね。

フェルメールの生きていた

時代
街
人間
色

そんなものが良くわかりました

まず言えることはこの映画の主人公、”真珠の耳飾りの少女”はスカ・ヨハがピッタリとハマリ役であったことは間違いない。
その美貌、純白な美肌、瞳の中の憂え惑う余韻、純朴の中の艶めかしさといった表現の中に、アクセントに真珠の耳飾りという高貴さでグッと引き寄せられるような美感が漂っている。
最近では結構イケイケな今どきのウィットに富んだキュートガールを演じている作品が多いスカ・ヨハですが、この作品では、こころを震わせ笑顔をずっと堪えています。
下働きとして、凍てつく閉鎖的な空間で、控えめで憂え震える姿を全面的に出しており、そんな中で、ほんのひと時の微笑みがあることに安堵感を覚えます。
1660年代のオランダでは、下働き人はなぜ髪の毛を隠すのかよく分かりませんが、隠れたところで一瞬だけ長い赤毛が見え、その髪をとかすところは何とも艶めかしく感じられます。
光と陰影のアトリエ空間にくすんだ窓辺、偶然に小指がそっと触れ合う瞬間、見つめる眼差し、続いて針で耳にピアスをあける瞬間は、少女のこころの震えに連動し、プラトニックなラブシーンを描いています。