今でこそ、たくさんの人が「Lost In Your Eyes」はすばらしいと彼女を褒めるが、デビュー当時は同じ少女歌手ということで、常にティファニーと比べられていた。当時私は大学生で、「アメリカン・トップ40愛好会」というサークルに属していたのだが、ここでも男性陣は比べっこである。そして、かわいいからという理由だけでティファニーが優勢だったのだ。
冗談じゃない。カバーを歌っている彼女と、自作の曲で勝負しているデビーが、どうして同じ土俵で比較されるのか。初めてデビーのデビュー曲「Only In My Dreams」をFEN(当時)で聴いたとき、寝ぼけていた私に電撃が走った。一聴惚れである。その後私は何かと「デビーはすごい、デビーは曲を作る、歌をちゃんと聴け」と唱え続けた。
デビーは、ビリー・ジョエルやジョージ・マイケルがいる、ポップの高級世界の人だ。ティファニーと比べている場合などではない。次々と良質の曲が作れるなんて天才ではないか。全米1位をとった「Lost In Your Eyes」と「Foolish Beat」はよくラジオでかかるが、私のお気に入りは「No More Rhyme」である。そして、デビュー曲はやっぱり強力だ。私のように飛び起きた人は、世界中にたくさんいるはずである。