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スクール・ウォーズ―落ちこぼれ軍団の奇跡 (光文社文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
Amazon.co.jpで確認
「落ちこぼれ」と呼ばれ、「ツッパリ」と疎んじられていた生徒たちが、高校ラグビーで日本一に! 監督の情熱と手腕が、学園の若者たちに目的を与え、計りしれないエネルギーを引き出した。――これは、教育の原点を、スポーツを通して問い直した、注目のドキュメントである。
再読して ★★★★☆
2009年9月から、ケーブルテレビのTBSチャンネルで平日の早朝連続でドラマスクール☆ウォーズが再放送されていたのをご存知の方がどれくらいいるだろう。
つい先日、スクール☆ウォーズ2(少年院チームが花園に出場するやつ)がおわったばかり。
ラグビーをやっていた私は、早速DVDレコーダーに録画し、子どもが中学校に進学するときに見せてやるつもりというか、洗脳するつもりである。


さて、本書だが、当初出版されたのは、確かカッパノベルスだったと記憶しており、
それは、もっとページが多かったように記憶しているのだが、記憶違いか。
現奈良の某校ラグビー部監督山本清悟さんと山口先生の話が多かったと記憶しているのだが、これまた記憶違い?

まぁとにかく、読むことをおすすめする。
老若男女を問わず。
現在伏見工業高校ラグビー部は、本書に出てくる高崎さんが監督をされている。
「信は力なり」は健在である。
敵役の大阪工大高校は、荒川先生もお亡くなりになり、名前を常翔学園と変えたものの
「協心」は変わっていない。
相変わらずクリーンでベストなラグビーをするチームである。
ちなみに、両校とも、今年は花園に出てくる。


この時代(1979年から81年)の高校ラグビーは、
目黒、国学院久我山を中心に回っていたのは確かだが、
一番強かったのは、大阪工大高校である。
伏見が負けた久我山に準決勝であたり、圧倒的に攻めながらも3対3の引き分けにおわり、
はずれクジを田井キャプテン(後の同志社主将)がひき、
ナンバー8の高田さん(後の明治主将)が泥田のような花園で崩れ落ち、号泣したのも見た(これがきっかけで、抽選は試合直後でなく、試合終了後しばらくして別室で行われるようになった)。
翌年は、平尾率いる伏見工業に決勝で3−7とまさかの敗戦。
やっと花開くのがその翌年。
小粒になったといわれたが、南主将(これまた後の明治主将)を中心によくまとまり、やっと優勝。
風が少しでも違えば、大阪工大高校の3連覇だってあったのだ。


本書とはまったく関係ない薀蓄だらけのレビューになりましたが、読んで、ドラマ見て、
ついでに昭英の映画も見て、
山口良治の熱さを存分に味わってほしい。
あの「勝ったぞう」に、高校ラグビー界では鼻白んだ指導者も多いことは知っているが、
とにかく、読んでほしい。


小説を書きたい人へ 参考になると思います ★★★☆☆
テレビドラマで人気になったスクールウォーズの原作本だ。
この番組、ぼくは見たことないが「名場面」は知っている。コントでもよく使われる。

しかし、だ。
原作本は印象が違っていた。

これは使えると思う。
小説を書こうと思っている人に、あるパターンのお手本になるのだ。
日記風に題材を書き溜めておいて、それを小説にまとめるとする。
このやり方で作っていくと、この「スクールウォーズ落ちこぼれ軍団の奇跡」が出来上がると思うのだ。

淡々と書いてある。
大映ドラマの熱い演出とは対極の書き方になっている。この書き方はテレビドラマを見た人への効果としては高いが、それを知らない人には逆効果になるだろう。

大映ドラマ「スクールウォーズ」あってのドキュメント小説だ。
小説だと思って読むべきでしょう。 ★★★★☆
 山口氏とは、息子がラグビーをやっていた関係でお話させていただいたことがあるが、そのお人柄は、この本に書かれているとおりの部分もある。
 しかし、彼が、この本にあるような強烈な事実を体験したとは思われない。ある面は真実でも、誇張されすぎて、ノンフィクションから、フィクションに変容してしまった。
 この本は、あくまで、小説として読むべきものだと思う。
 実際、同じことを扱ったNHKのプロジェクトXでも、誇張があったのであり、山口氏にとっては、いい迷惑ではないのだろうか?
現場を知らない戯言! ★★★★★
現場を知らない戯言だ。
荒廃し切った高校が、一部活が少々強くなったくらいで簡単に変わるものではない。そんなこともこと細かく書いてもらわなければ想像できないのだろうか?
全国大会優勝した時のキャプテン平尾氏は本人の著書で「毎日無事に帰宅できるだろうかと不安であった」と当時の学校のことを語っている。
それでも、山口氏が赴任した当初と比べれば、教師達の努力と多くの生徒の変化で、部活の練習に熱心に取り組めるくらいには学校が少しずつ変わってきたということである。

最初の卒業生を更生させて卒業させられていないことが矛盾?優勝した時の部員は落ちこぼれではないから「落ちこぼれ軍団の奇跡」ではない?日記を最後まで書かせていないことに不満?
この作品はノンフィクションだ。嘘を書くわけにはいかないでしょう。いったい作品に何を求めているのだろう?

花園高校との大敗から勝利までがあっけなく書かれてあることが不満?
文豪吉川英治でさえ、宮本武蔵の剣術の成長を描けていない。山から下りたときにはすでに強くなっている。なぜか?なんでもそうであるが、上手く強くなるための日々の鍛錬は途方もなく単純で退屈なことの繰り返しである。そんなことを小説の中で描写していては読者は退屈に耐え切れず読むのを止めてしまう。そんなことは書かなくても分かるよね?という著者と読者の間の暗黙の了解があるから著者は書かないのだ。

小説は論説文や説明文とは違う。問題提起をする必要はないし、それに対する回答を出す必要もない。それは読者が感じ考えることだ。
何でも「クレクレ」「ないと不満」な大人が増えていることにこそ、現代社会の問題や教育問題が浮き彫りにされているように感じる。

問題意識が低い ★☆☆☆☆
『スクール・ウォーズ』は「落ちこぼれ高校」のラグビー部の敗者から勝者への道のりをつづった本である。私はこの本を読みながら、弱小ラグビー部が全国一位になったことに素直に山口良治はすごいと思った。全国大会に出ることさえすごいことなのに一位を取るという事は並大抵の努力でできることではない。しかし、そのことと落ちこぼれ高校の奇跡とはあまり関係が無いように思った。読み進めていくうちに「落ちこぼれ」から「日本一」への軌跡に数々の矛盾点を感じた。1年目に就任した時の生徒は結局落ちこぼれのまま卒業してしまったこと、監督に就任してから強豪花園高校との大敗から勝利までがあっけなく書かれてあること、京都代表になり、日本一になるころの部員は伏見工が「ラグビーが強いから」「山口良治がいるから」といった理由で入ってきた部員がほとんどで、もともと落ちこぼれだったり、荒れていたといった生徒たちではなかったこと、始めは書かせていた日記も全国トップを目指すようになった頃にはもうつけていなかったこと、などだ。伏見工が荒廃した高校として始めのうちは描かれてあったが、高校全体としてはどう変わったのかといったことも気になった。もちろん、山口良治のラグビーを通して生徒たちの中に変革が起こったことは確かだろう。しかし、日本一になったという事は“奇跡”というにはあまりに最初の状態との関連が見られず、ただ強いラグビーチームをより強くしたといった物語であるようにしか見えなかった。高校の荒廃といった問題意識が途中からやけに薄れていった気がした。
この本は単に私たちを感動させようとしているだけなのではないか。高校の荒廃とどう立ち向かうか、スポーツを通しての人間性の向上とそれによっての教育効果、何によって教育は変えられるかといった問題意識を私たちはもっと深く見つめてみる必要がある。単に受身ですべてを受容するのではなく、これらのことを見据えて考えなくてはならない。その点においてこの本は筆者の私たちを感動させようとする意図が見えるものであり、とても共感できるものとは言えなかった。