スタインウェイ 真実
★★★★★
前者の評価フォローで書き込ませて頂きます。
星3つの評価は辛口すぎますので、4,5と言った評価にしたいと思います。
この本にスタインウェイの事柄全て書き表すことは、
たいそう膨大の量になりますし、完璧を求めればきりがないことでしょう。
著者は年配の方ですし、第二次大戦事の経緯はわかっていらっしゃると思います。
アメリカは戦争の被害がなかったことから、あらゆる分野が繁栄されたことは
誰でも常識で当たり前に把握していることから、
あえて書く必要がなかったのでしょう。
タイトルがスタインウェイから、
仮にベヒシュタイン、ベーゼンドルファーを比較しながら書き表したとすれば、
タイトルが異なってくるでしょう。
この本はスタンウェイの価値、真実を簡潔に書きまとめておりますので、
読む価値は十分にあります。読んで損はない本の一つです。
進化と取るか堕落と取るか?
★★★☆☆
一言で表現するなら「ピアノのトップブランド・スタインウェイの
品質低下、音質のやせ細りを著者が憂いでいる」事を伝えるべく書き
下ろされた本、といってよいでしょう。その原因を製造法の変更、
利益第一の企業体質、かつて経営権を有していた大資本の方針、材料の
見直しなど、あらゆる面から分析しています。
最近新造されたスタインウェイが、なんか昔のと違うと感じた方は
一読の価値はあると思います。
活字も大きく、行間もやや広めに取ってあるので読みやすい。巻末
には往年のピアノのカタログのコピーも掲載されており、面白い。
しかし、内容が主観的過ぎて、いかにもかつてのスタインウェイの
一人勝ち、みたいな表現が多い。鳴りがイイから、職人の経験や勘
ばかりではなく、科学技術(音響学)も取り入れているから、「鉄骨を
鳴らす」事を思いついたから、スタインウェイの勝ち、みたいな表現
ばかり目立つ。著者のスタインウェイへの入れ込み塩梅は伝わりますが。
他のブランドとの比較も多少はあるが(構造的に)どういう点が
違うのかをもっと他ブランド(ベヒシュタインやベーゼンドルファー
など)の内容も詳しく書いた上で比較検討して欲しかった。
「ピアノのストラディバリ」といわれたベヒシュタインも
「至福の(?)ピアニッシモ」といわれたベーゼンドルファーも
すばらしいピアノだと思います。各々キチンとポリシーを持って
いると思います。「よいピアノ」の答えは一つとは限りません。
コンサートユースのピアノでは圧倒的なシェアを持つスタインウェイ。
多くのアーティスト達が支持し、セールスパワーもある。しかしその
原因の一つに第二次大戦で他のヨーロッパピアノブランドと違って
工場を破壊される事が無く、スタインウェイだけがいち早く立ち直れた
事には全くふれられていない。著者はこのことをご存じだろうか。
この本の着眼点は鋭いし、皆が疑問に思っていた事を本にしたのは
すばらしい。しかし、以上のウィークポイントを差し引いて、星3つ。