駄を味わう
★★★☆☆
『夜、でっかい犬が笑う』です。愛犬家である作者によるエッセイです。いや、愛犬家といっていいのかどうかは微妙ですが。
普通、愛犬家が書いた犬のエッセイは、どう転んでも犬のことを良く書くだけだと思います。だが本書はそういったところでは一筋縄ではないです。
大型犬を飼う現実の苦労、大型犬の駄犬っぷりを率直に描いています。
作者は駄犬にうんざりし、良き犬を求めて次から次と大型犬を飼います。だが、良いと思って飼い始めた犬も悪いところが見えてきて……やがて手放してしまう、というケースも多いです。
ですから作者は、犬の飼い主としては優良とも模範とも言えません。どちらかと言うと駄飼い主の方に当たるでしょう。
本作はそんな駄犬と、駄飼い主のダメっぷりこそが見所なのだと思います。
犬をやたらと猫可愛がりして(犬なのに猫とはこれいかに)美化したエッセイとは違うということです。
犬のダメっぷりを描くのに挿入して、ダメ人間批判パートが多々あります。
作者の小説においてはデフォルメしたキャラのダメさを描くことによりきちんとした人間批判になっているのですが、本作の場合、犬の話から飛んで人間のダメさに行くし作者の偏見も入っているようにも思われるし、しかも具体例を示しているなら「ああ、あるある」という共感もできるのかもしれませんが、単に抽象的に挙げているだけなので、単なる愚痴というか悪口になっているようにも感じました。ここはちょっといただけなかったです。
人間って、飼いにくい大型犬と同等以下みたいなもんだ、と言っているのでしょうか。違いますかね。
いずれにせよ、大型犬に対する作者の、かなりねじれた親愛の情なのだと思いました。
どういう人が読めば楽しめる本なのか分からないということで、評価は真ん中の★3です。
爆笑
★★★★★
氏の人間性が良く描かれており
読み物としては文句無くおもしろいです。
判断に困る
★★★☆☆
1984年に出た単行本の文庫化。
作家の丸山健二が、飼っては捨ててきた何頭もの犬の思い出を綴った本。大型犬が好きなようで、セント・バーナード、アフガン・ハウンド、ゴールデン・レトリーバーなどを次々と飼っている。しかし、その飼い方には色々と問題がある。まず、無計画・衝動的に購入してしまうので、病気の犬をつかまされたり、悪どい畜犬商にだまされたりする。そして成犬になったら、飽きてしまうのか、鳴き声がうるさいとか、散歩に連れて行くのが大変などの理由で捨ててしまうのである。しかも、さんざんに犬の悪口を並べる。
まともな愛犬家だったら、読んでいてちょっと耐えられなくなるだろう。
しかし、これを文学作品と捉えると評価は変わる。人間や犬の本性というものが、実に良く見えてくるのだ。特に、その汚い部分が。
愛犬家には不向き、純文学読みにはおすすめ。
この本、好きだなあ~
★★★★★
「犬好き」にもいろんなタイプの方がいらっしゃると思います。犬に洋服を着せたりリボンをつけたりして可愛がるタイプの方は、間違ってもこの本を買ってはダメですよ~。そういうことを否定するわけではもちろんありませんが、おおよそ対極のところに著者の丸山さんはいると思います。ご自身の理想の犬を求め続けた日々の暮らしを伝えつつ、時に、上っ面で生きている「人間」への辛らつな皮肉も交えるあたり、「さすが」です。
ジーガー・シェパード、アフガン・ハウンド、ドーベルマンなどなど。登場するのは、クセのある「大型犬」がほとんどです。
丸山さんの「小説」は苦手という方でも、この本は大丈夫かもしれませんよ。サラッと読めちゃいました。
最悪の飼い主。
★☆☆☆☆
著者が次々と犬を買い換えては理由をつけて手放す様を自信満々に綴った本。
丸山に動物を飼う資格なし。