伝説的なグループ、「フルクサス」の覚え書き
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世界中に広がった伝説的なグループ「フルクサス」のメンバーだった筆者の覚え書き。なんといっても、当時の具体的ないきいきとしたエピソードを日本語で読めるのが魅力です。
フルクサスといっても、一枚岩の活動ではなく、日本には独自の運動があったのです。筆者はもともと音楽家ですが、当時の音大の同級生と一緒に様々な実験を行い、それがフルクサスに参加するきっかけになっていきます。また興味深いのは、日本のフルクサスには草間彌生や久保田成子など女性が多いこと。これは、当時まだまだ閉鎖的で「男性社会」だった日本の前衛美術界に居心地が悪く、才能ある彼女らはより生きやすいニューヨークを選んだのでしょう。
海外が舞台だったためになかなか知ることのできない、興味深いフルクサスの一面をテンポよく読むことができる一冊です。