現実性を持つキリスト者のキリスト教擁護論
★★★★☆
この本は、章毎にそれぞれにまとまった形である問題についてのアウグスティヌスの考えが書かれているため、全体を通しては大著であるが、ゆっくり読んでゆく分には、とても読みやすい。
本分冊に収められているのは1~5巻までであるが、その中の大半は、アウグスティヌスが、彼の生きていた当時のローマとキリスト教について、当時の人物や事件を挙げながらキリスト教を擁護すると言った内容である。そのために歴史的な記述が非常に多く、詳細な注が入れてあるといえども、ローマ史に詳しくない者(私がそうであるが)にとってはとても読みにくく簡単な歴史の教科書を引きながら読むことになった。この点、この本にはハードルの高さを感じるが、アウグスティヌスの言っていること自体は非常に明快で具体的なことであり、彼の後の神学などから比べるととても取っ付き易い。
なお本分冊には、解説がつけられているので、これをアウトラインとして、ゆっくりと時間をかけて読むのによい本だと思う。