「二十年後」に匹敵するような話はさすがに少ないが、なかなかおもしろかった。文章は短いのに(約310ページに28編)、ちゃんとひねりの効いた話になっている。まさに”山椒は小粒だがピリリと辛い”。だがピリッとした中にも、人間や人生に対する、何とも言えぬ暖かいまなざしが感じられるのがすばらしい。また、ちょっと古くさいが、小粋な詐欺物もあって楽し!める。
残念ながら、すばらしい話ばかりではなく、どうという事のない話や、何を言いたいのかわからない話も少なくなかったので、総合評価は辛目にした。だが、少なくとも短いので読みやすいし、イヤな気持ちになる話が全くないのが良い。O・ヘンリーという作家はますます好きになった。”ミステリー”とは銘打たれていない他の作品集も、ぜひ読んでみたいと思う。
軽妙な文体(訳文がいいのか?)、ヒネリの効いたオチ、そこはかとなく漂う感傷と、さすがに名手と呼ばれているだけあって、短いながらも読み応えのある作品ばかりです。
ミステリー好きに特にお薦めなのが、シャーロック・ホームズのパロディ、シャムロック・ジョーンズものの3編。本家ホームズも舌を巻いて逃げ出してしまいそうな突拍子もない推理(洒落だな、ここまでくると)にはきっと笑ってしまうでしょう。それとも、ふざけるな!と怒り出してしまうかな?
未訳の作品も多いということですが、その中にはまだまだおもしろいものが眠っていることとと思います。20世紀のはじめに活躍した、一昔も二昔も前の作家かもしれませんが、ぜひ全集を出してほしい作家の一人です。