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自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界 (岩波新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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自己陶酔が過ぎ、ジェイン・オースティンの良さが伝わって来ません ★★★☆☆
イギリスではオースティンの作品は「イギリス的ユーモア」があることで、200年に亘って人気があり、学校の教科書にも採用されているとのことです。尤も「学校で読まされる、上品で面白みの無い作家」との範疇になるのだそうですが・・
しかし、1980年代にテレビドラマ化されると共に、魅力再発見となり、空前のオースティン・ブームが続いているとも言うのですが、実感は湧きません。

ジェイン・オースティンは1775年生まれ、6点の小説を出版し1817年にアディソン病と言う難病に冒されて亡くなった女性作家。
イギリスでは未だ階級制度が厳然として残っているのですが、彼女は貴族階級でも無く、庶民でもない「ジェントリー」と呼ばれる階級(現在ではアッパー・ミドル・クラス)に属していて、その階級内でのゴシック小説へのパロディ作品を書き続けたのです。
ゴシック小説とは、恋愛・結婚をテーマとし、ヒーローとめでたく結ばれる前に、必ず悪党にさらわれ、何処かに幽閉されて、様々な危険を経て、ヒーローに助けられてハッピーエンドとなる小説を言うのですから現実味の無いもので、ジェイン・オースティンのパロディは時宜を得たものであった様です。

現在、再発見されたジェイン・オースティンを熱狂的に支持する人達は、「ジェイトナイト」(ジェインをもじった言葉で、日本語で言えばジェイン・オタクだろうか?)と呼ばれ、高学歴で、洗練されており、特別な感性を持つと自認する人々であるらしい。

著者の新井潤美(あらい えみ)女史もイギリス生活を経て、「ジェイトナイト」を自認している様ですが、オタクの通例として主観的な自己陶酔が過ぎて、客観的な意味で「ゲーテ、セルバンテスと並び、シェイクスピア、モリエールの様な深み、繊細さを持って人物を描ける作家」とも言われるジェイン・オースティンの良さが伝わって来ません。
新井さん、面白くないよ ★★☆☆☆
新井さんの作品はいつも出版直後に購入して、その面白さに魅かれて、あっという間に読んでしまうのですが、今回だけは別でした。どうにもこうにもページが先に進まないのです。10日以上かかってしまいました。丁寧にオースティンの様々な作品の解説がなされるのですが、どうにもこうにも作品の筋すら頭に残らないのです。どの作品も、肝心な筋がどうにもわかりにくいのです。余りにも小市民的な人間関係の集積は結果として諸作品の間の差異すら混乱させてしまうほどです。各作品の読みどころやおちが丁寧に説明されますが、それ自体は理解可能ですが、どれも爆笑というわけにはいかないようです。そう、これは著者の責任ではなく、作品自体がわかりにくいのです。わかりにくいというより、こんな「くだらないこと」に価値を見出していた19世紀初頭のイギリス人の思考回路についていくことが日本人には無理なのです。と割り切ってしまうと、なんかすっきりしました。日本人にもわからない世界ってやはり存在したんですね。
摂政時代のロマンス文学と社会 ★★★★☆
現代においても小説として楽しまれ、
また文学として研究されているオースティン。
その作品と彼女の生涯を、
それを生み出した当時のイギリス摂政時代についてや
「お上品」に変容させたヴィクトリア朝の風潮とともに
紹介、分析した本。

「豪奢と堕落の時代」摂政時代に生きたオースティン。
その作風に流れる、自分自身を笑うイギリス特有のユーモアや
当時の女性について死活問題だった結婚について、また
わずかな差が大問題だった階級差についてなどが
オースティンの作品から例を抽出して、述べられています。
その中にはオースティンが少女時代に書いた習作も含まれており
述にあがる各作品のあらすじも描かれています。
巻末には略年表もあります。

どことなく論が散漫な感じがありますが
少女時代をイギリスで過ごした著者ならではのコメントや
現代での翻案を幅広くチェックされており、面白いです。
論や例は、著者のこれまでの著作とかぶっていることも多く
仕方がないことかもしれませんが、ちょっと寂しい感じがしました。


J・オースティンの世界と現代 ★★★★☆
何故J・オースティンの作品が、現代でも人気があるのか?ということを、イギリス文化との関係を踏まえて解き明かしています。
そもそもが、ゴシック・ロマンと言う当時の小説のジャンルに対するパロディとして書かれており、そこにイギリス流の「笑い」があると言うのです。個人的には、彼女の作品に「笑い」と言うのは余り感じませんが、このあたりが日本とイギリスのユーモア感の差かも知れません。
更には、当時の女性の恋愛観、結婚観、そして階級意識も語られます。
これらすべてが、彼女の作品を具体的に引いて語られるので、非常に解りやすくなっています。
おまけに、各作品の「あらすじ」が付いているので、未読の作品があっても全く問題ありません。
一番興味深かったのは、「オースティンの「続編」と「翻案」」の章で、こんなにもオースティンの作品関連の小説があるのかと驚きました。
その筆頭は、「ブリジット・ジョーンズの日記」で、これは現代版の「自負と偏見」だと言うことです。続編も「説きふせられて」の現代版とのことです。
映画は見ましたが、原作は読んでいないので、確かめてみたいと思います。
ジェイナイト?、O-TA-KU? ★★★★☆
 新井潤美さんによれば、ジェイン・オースティンの書く小説の基本的な図式は「ロマンスVS現実」ということになよるようです。
 「自負と偏見」を書く前から、彼女は「恋愛と友情」「分別と多感」といった相対立する概念をモチーフにした秀作を少なからず書いていました。本新書ではこのほか、「自負と偏見」も含めて「説き伏せられて」「ノーサンガー・アビー」「マンスフィールド・パーク」といった作品群のあらすじをたどりながら、1811〜1820年のいわゆる摂政時代(リージェンシー)のどぎついユーモア、奢侈と堕落のこの時代のイギリス女性の恋愛観・結婚観をこれでもか、これでもか、これでもかと書き綴っております。

 この時代のヒロインは、「すぐに気を失う」か「すぐさま酒瓶に走る」という二面性を持つっているのがまったくもって面白いですね。
そういえば、この時代を反映した洋画を見ると、すぐにショックで気絶するうら若い女性がよく出てきますね。
 また、イギリス特有の階級制度がありますが、階級によって、「ディナー」を食べる時間が違うらしいのです。夜11時以降に食べる日本でいういわゆる夜食のようなものを、あちらでは「サパー」というらしいですね。

 ジェイン・オースティン大好き人間が集まった”O-TA-KU”集団を“ジェイナイト”というようですが、リージェンシーのような時代を歴史上持たなかった北米の白人女性の間に、特に多く流行っているのも、なかなか興味深いことです。

 本書は、小品ながら偏見をもって接すれば、文字どうり痛い目にあうなかなか隅に置けない興味深い一品であり、映画好き、英語好き人間にとってもなかなかお勉強になる一作であることには間違いがありません。

 私の出身高校は男子校だったのですが、どういうわけか夏休みの読書感想文の課題図書の一冊にこの本がよく選ばれていました。その時の翻訳は、「高慢と偏見」のほうで、「自負」か「高慢」かの違いについても新井女史は薀蓄を述べていますので、気になる人にとっては参考になるかもしれませんな。