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ジャズ詩大全1 (楽譜なし)

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央アート
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ジャズをより深く楽しむために、 ★★★★★
 たまたまレビューで採り上げたものが、第1巻ということで、特別な意味はありません。
ジャズ詩大全、全部で20巻。読みやすい分冊になっていて、それぞれ、20曲のジャズのスタンダード・ナンバーが収められています。

 楽譜はありませんが、原文の歌詞、和訳、その曲にまつわるエピソード、おすすめのレコード、その文化的な背景の秀逸な説明。
そして、なによりも素晴らしいのは、ジャズ・ギタリスト、ピアニストでもいらっしゃる村尾陸男さんの原文解説です。
英語の達人ぶりも驚異的なお方でいらっしゃいます。

 例えば、超有名な、私たち日本人の大好きなスタンダード・ナンバーの
<時の過ぎ行くままに/ As Time Goes By>、

 深く気にもとめずに、<時の過ぎ行くままに>、ロマンティックで、いい題名だと思っていました。

ところが、著者の村尾陸男の素晴らしい解説でこの原詩を丁寧に読んでみますと、

 The fundamental things apply as time goes by

And when two lovers woo, they still say "I love you"

On that you can rely No matter what the future brings as time goes by

この as time goes by 、けっして、「時の過ぎ行くままに」という意味ではなくって、

「どんなに時が経っても」という意味だと納得させられます。

<どんなに時が経っても、当たり前のことは変わらない
どんなに時が経って未来がなにをもたらそうとも、あなたを愛しているということは変わらない> 


 ヴォーカリストは当然でしょうが、
コルトレーンにしろ、ズート・シムズにしろ、スタンダード・ナンバーを演奏するときには、
曲の魅力も勿論でしょうが、歌詞に深い敬意を払えるものだけを採り上げたと聞いています。

 優れたジャズ・プレイヤーがスタンダード・ナンバーでも優れた作品を残している事実が納得できるお話の気がいたします。

恥をさらすようなお話を一つ:
有名なマット・デニスの素敵な曲に、トム・アデアが作詩した「The Night We Call It a Day」という曲があります。

私はそのタイトルを「私たちが昼と呼んでいた夜」なんて、深く考えもせずに済ませていました。

 でも、この本で歌詞をきちんと読んでみて、
 There wasn't a thing left to say

 the night we call it a day

 <二人が昼と呼んだ夜>では、どう考えても意味不明です。 
村尾さんは、もし、そんな意味なら、The night we call a day となるだろうし、it は不要の筈と指摘なさっています。

するどいご指摘に、おのれの無知を思い知らされました。
そこで、やっと思い出したのが、call it a day という慣用句(その日の仕事をきりあげる)でした。
Let's call it a day. I'm really tired.
<今日はこのくらいにしておこう、もう、くたくただ。>どの辞書にも載っている例文です。

 そして、村尾さんはコノ部分 
「もう言うべきことはなにも残っていなかった
 あの私たちの最後となった夜」と、達意の訳詩をなさっています。


 このように、歌詞は、英語のお勉強にも、とても有益で楽しいわりには、教材がなさ過ぎました。
CDに付いてる歌詞カードも不正確、和訳もいい加減なものが多すぎると思いますが。

 今は古い優れたジャズ・ヴォーカルのCDも手に入りやすいですし、こんな素晴らしい本で、
ジャズをより深く楽しめるようになりました。まるで夢のようです。

 興味の或る方には、絶対、お薦めいたします。
それぞれの巻の収録曲は、検索なさってみてください。 五つ星のとても貴重な出版物です。