主役かつ監督かつ演出家の人生って。
★★★☆☆
自分が主役って気づいてましたか??
ワカメ役でもなく、
ガキんちょにいじめられるカメの役でもなく、
残念ながら乙姫様でもなく、
スポットライトを浴びる主役なのです。
この本はドラマセラピーといって
役を演じることでココロの病を治療していくという方法を紹介しています。
例えば、ドラマセラピストである著者が
自閉症の子供の役を演じ、
セラピーを受けたいヒトが父親役、母親役を
自由に演じて良いというもの。
脚本もありません。ダメだしもありません。
自分で自分自身を演出してよいのです。
そうして、役を演じることで
自分の中に潜んでいた本当の気持ちが浮き出てきたり、
自己表現の方法を見つけたりできるそうなのです。
役者になりたかったという著者。
この本もまるで演技・舞台指導の本のようです。
さるきち印象的だったのは、
誰もが自分の人生の主役なのだ、ということ。
自分は演出家でもあり、監督でもあるのです。
自分のことが嫌いになるさるきち。
脚光を浴びる主役なんてとんでもない。
華のない脇役。惨めな人生。意味のない人生。虚しい人生。
なんて悲観に暮れることも。
でもね、
そんな嫌な役回りに自分を配役しているのもまた、自分なのです。
周りの干渉や自分の境遇は言い訳にすぎません。
自分が好きになれるような
自分が輝けるような、そんな素敵な人生を創りたいものですね。
「相手の立場」になる楽しさ
★★★★★
「相手の立場になって考えなさい」小さい頃、親や先生からそう言われる度に、そんなぁ自分の事で精一杯だったよ・・と思ったのを覚えています。自分の身の置き場さえわからなくなるのに、相手の立場だなんて。私は尾上明代さんのワークショップに参加して、まさに「相手の立場」になる体験をし、その効果を体で実感しました。
この『心ひらくドラマセラピー』では、いわゆる療法として説明するのではなく、実例を交えながらすぐに実践できる方法までわかりやすく書かれてあります。
本の帯にはこう書かれてあります。
『ドラマセラピーの中ではまちがいも失敗もありません ただ自分のなりたい役になって好きなように動いたり、話したり、 そして役に隠れながら、ほんとうの自分が表現される瞬間 人と共感しあい受容される喜び、心がひらかれる驚きが訪れます』
架空のドラマの中で役を演じる事でなぜ癒されるのか、ワークショップを受講するまではわかりませんでした。しかしそこで自分ではない人を演じていても、その時の感情は「本物」だという事に気付いたのです。この本には、そういうドラマセラピーの意味や効果、実際の進め方などがとてもわかりやすく書かれてあります。大人にももちろんですが、心の問題を抱えていながらもそれがうまく言葉に表せない小さな子どもには即効性があると書かれてあり、まさにその通りだと読んでいて感じました。その辺がカウンセリングとの大きな違いでもあります。大人だけでなく子どももたくさんのストレスを抱えている今日だからこそ、「人生というドラマ」の辛い役にある自分から解放され、普段言えない感情や本音を吐き出すことのできるこのドラマセラピーは、きっと大きな助けになると思います。
“私たちには一度の人生、一つの身体しかありません。いくら経験が大切でも、経験できることには限界があります。それなのに、ほとんど限界なく、さまざまな人生・生活・役・気持ちなどを「経験」できる方法があるのです!そして更に その「経験」から学んで癒される方法があるのです!”
本の中でドラマセラピーの楽しさと効用を このように説明しています。
まずは読んでみて下さい。きっと小さな発見がたくさんあること間違いなしです。
本もワークショップもおススメ
★★★★★
以前、インプロ(即興劇)ワークショップに参加したことがあるのですが、実際のワークも、舞台にもあまり魅力を感じませんでした。はたして、ドラマセラピーとはどのような違いがあるのか?と思い、著者のワークショップに参加してみたところ・・・大変素晴らしいものでした!かなりはまってしまい、今ドラマセラピーを本格的に勉強中です。
演劇関係者とは全く関係なく、「自分自身の表現を磨きたい人」、「他者と共感し、癒し癒されたい人」、つまり現代に生きる我々すべての人にとっておススメと言えます。
この本は実にわかりやすく、特にエピローグに書かれた本人の本音にホロリとさせられます。芯の強い女性なんだな〜と思います。