本書は統計学の基礎から丁寧に説明してあるが、同レベルの他本と比べると、連立方程式モデルの説明で計量経済モデルを終えた後に第二部として時系列モデルを説明してある点が大きく違う所である。大学院で実証分析を行う場合、ARIMAや単位根、誤差修正モデルなどを使用することが多い。それらの概念もわかりやすく説明されており、中級や上級の計量経済学のテキストの橋渡しに役に立つ本である。またEXCELやTSPを用いた分析方法も説明してあるので、その意味でも使える本である。

第一部のほうは最小二乗法を中心に取り扱っています。そのほかには、ｔ検定、F検定、ダービン・ワトソン検定などについても書かれています。統計学については、数章で書かれていますが、十分とはいえないので他書を参照してから読まれることをお勧めします。この第一部が他の計量の本(学部レベル)でも取り扱われている内容をカバーしています。正直、ここの部分の解説なら他に良書が出ており、その方が分かりやすいです。第二部では時系列を中心に解説されています。この本の特徴はここにあると思います。多くの学部レベルの計量の本では、時系列の解説はほとんどありませんが、この本は、第2部全部が時系列の解説に当てられ、学部レベルで時系列が学べる唯一の本です。ここの部分が他書を圧倒!していますので、時系列の導入から学習したい方は、一読をお勧めします。