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影 [DVD]

価格: ¥5,040
カテゴリ: DVD
ブランド: 紀伊國屋書店
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スパイはどこにもいる君の傍にも ★★★★★
ポーランド映画というとワイダやポランスキーばかりもてはやされろ。誰か忘れていませんか?「尼僧ヨアンナ」「夜行列車」のカヴァレロヴィチである。私は2本とも高校生のとき見てるが当時はポランスキーなどより人気があった。この「影」は知らないが28日発売なので予約した。内容は政治スリラーとある。想像するに対独抵抗運動内部にスパイがいたことが戦後の奇怪な事件に関係するようだ。成功したスパイは任務を終えても正体は不明なままだ。だが多くは雇用主に消されている。生かしといて「あれは私がやりました」などと新聞社に駆け込まれては迷惑だから。エスピオナージュの世界は非情である。
3層構造のサスペンスで語るポーランド ★★★★★
この作品はポーランドという国、第二次世界大戦以降の歴史を表現した作品だが、その作法というと3つのサスペンスが綴るなぞ解き形式になっている。決して政治的メッセージが主眼ではなく監督の過ごした混沌とした時代に対する想いを描いているといって良い。
物語は列車から飛び降り顔がつぶれ死亡した身元不明の男の事件の捜査を担当する警官が発する「髪の毛1本にしても影がある。その影を辿れば真実につながる」という意味の言葉から始まる。この言葉がポーランドの辿ってきた道を語る糸口となる。
この警官の言葉を否定する医師が語るナチスドイツ占領下に起きた商店襲撃事件の謎。警官の上司である大尉が語るポーランド内乱期に小隊長と呼ばれ殺戮を繰り返した一団にまつわる事件の謎。そのどちらにもビスクピクという男が絡む。ポーランドの辿った歴史を振り返るかのように展開する過去と現在の3つの事件が最終的に1本につながり、事件の本当の暗部が明らかになる。この展開には驚かされる。
どの話も緊張感がみなぎりハラハラさせられる極上のサスペンスを観ているよう。映像もナチスの人狩りで逃げ惑う群衆を路面電車から映す映像はリアルで迫力がある。内乱期の「小隊長」という一団を追う軍の駐留地の外で燃える火が映す光と影の美も素晴らしい。列車から飛び降り事件の真相を握る男の列車内外での追跡シーンはヒッチコックがお得意としている列車アクションだがそれと並ぶ迫力を出している。
そして、これらのサスペンスが語るのはポーランドそのもの。内乱期の事件で両足をなくした大尉が「平和で安全になり、つらい時代を忘れがちだが...」とつぶやく言葉は重く、最も印象的なシーンは車から降り両手の杖で全身を支えたたずむ彼の寂しげな後ろ姿だった。この姿こそポーランドの辿った過酷な歴史そのものなのかもしれない。


☆政治色の強い国策映画であり優秀なサスペンス・スリラー ★★★★★
☆巨匠、アンジェイ・ワイダ監督に勝るとも劣らない、ポーランド映画界を代表する名匠であり、『尼曽ヨアンナ』や『夜行列車』、『戦争の真の終わり』等の名作を生み出し、世界中を驚愕させた、いわゆる、〈ポーランド派〉の監督、イエジー・カヴァレロヴイッチが手掛けた、誠に巧妙かつ、面白い着想のエンターテイメントと断言したい。果たして本編はどういうジャンルに属するのか、率直に言って、判断し難い?ところが興味深い。頭のお堅い方は、本作を当時のポーランド諸国の置かれた、悲惨な社会状勢と時代背景、ドイツ帝国=(ナチス)とソ連に虐げられた祖国の憂いな心情と抵抗、又は、反戦思想を盛り込んだ、メッセージ性溢れた、リアルな政治スリラーとして見る人もいるかも知れない。だが、個人的な意見を述べるなら、聡明なミステリー映画として純粋に楽しむべきと思う。謎解きのような綿密な展開と複雑な伏線、緊張感たっぷりの、特筆すべき異様な映像表現で描いており、近年の理屈っぽい、ハッタリを効かせた見かけ倒しのサスペンス・ムービーが束になっても、太刀打ちできない程、見事な出来栄えである。オープニングは、疾走中の急行列車から飛び降り、死亡した男がいた。顔は粉砕されて、身許を調べるが、手がかりが掴めない。この人間の正体は…?。という、切迫した場面=(見せ場)から始まる。その後、死体の検死を担当する、医師クニーシン(ズィグムント・ケンストウィッチ)の回想を軸に、3つの物語=(戦時中、内乱期、現在)で、ストーリーが構成されている。同じく、無賃乗車で逮捕された労働者の青年ミワク(タデウシュ・ユラシュ)はある爆発事故の事を語り始め、警察幹部カルボフスキ(アドルフ・ロニッキー)は戦後に起きた、スパイ事件を必死に回想していく。一見、無関係に見える、3つのお話=(不可解な事件)を断片的に繋げていく、ややこしい手法ではなく、まとめて組み立てられた、親切?な趣向と的確な方法がとられている。そして、解りやすい構図に練られているのが、実に優秀で、感心させられる。事件の鍵を握る【影】らしき、不思議な人物が浮かび上がる丹念な骨組みと状況経過、その存在とは誰なのか?という、表裏一体の真実を探し求める、ゾッとするような恐るべき設定と類い稀な心理描写が、スリルと興奮を掻き立てる。スリリングなカメラ・ワークも神業の域であり、もはや、芸術的。正攻法なアクションには生々しい凄味がある。画面全体に広がる疑った風土&景観の絶大な魅力も良いムードを醸成している。すぐれた洞察力と人間模様も緻密で、侮れない。イエジー・カヴァレロヴイッチ監督が培った、渾身の演出力で放つ、最上級のサスペンス・スリラーである!☆。