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海のふた (中公文庫)

価格: ¥520
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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よしもとばななのこれからを思った ★★★★☆
顔にやけどを負ったはじめちゃんと、「私」こと、かきごおり屋を営むまりちゃんのお話。死んだ祖母の遺産争いを見せないために、まりちゃんの家に預けられたはじめちゃんと、まりちゃんのひと夏の物語なのだが、うーん 笑
正直、よしもとばななの作品はだんだん説教くさくなっているのかな?と。嫌いではないんですが、世の中の理とか、悪い人とか、なんかつらつらそういうことを述べられるのはあんまり好きではないです。この年にもなれば自分なりの信念くらい誰だってもっているだろうし。
でもやっぱり読みやすさは抜群で、するする読めました。朝起きてご飯食べる前に読みおわるくらいに 笑
よしもとばななの作品は、少女漫画なしには語れない、と少女漫画について研究している人に云われたのですが、そのとおりだな、と思います。


独り占めしたくなる大切な一冊 ★★★★★
誰にでも一冊、これは大切な大切なものだから独り占めしてとっておきたい、
そういうものがあるように思う。私にとって『海のふた』はそういう本です。

なくしてしまったものがあるから逆に豊かになれる、
そういうことをこの本は教えてくれました。

絵を描く、私にとって「どうして、もっと可愛い絵が描けないのだろう?
私はどうして、おばけみたいなものを描くのだろう?」と悩んだ日々は大変辛く、
苦しいものでした。それを、さらりと流してくれたのがばななさんの優しいこの物語でした。

ポストカードの販売を小さくても心を込めて、ネットでやろう!と思えたのも、
この作品のお陰です。私はそういう風にこの作品を読んだので命の恩人的小説なのです。
みなさんにも、是非!!
あまり触れられていませんが・・・ ★★★★★
他のレビュアの方々はあまり触れられていませんが、
今回は遺産相続、観光地の盛衰、といったものと
主人公と思われる主な登場人物ふたりのピュアさが
絡み合う物語でした。
二人のピュアさのせいで、遺産とか観光地とかの俗っぽい
ドロドロが余計際立った感じがします。

ばななさんの小説にはよく素敵な言葉が出てくるな、と
思うのですが、今回もたくさんありました。
その中でも

「環境保護とかいうと、どうしてもサバンナとか
熱帯雨林とかが浮かんでくるように、
私たちは仕向けられているでしょう?
身近に目を向けられると困る誰かから」(p140)

「骨もあって、魂もこもっていたら、それに私がちゃんと
質が高いものを作り続けていけば、
買う人は絶対いるから大丈夫」(p170)

といった言葉たちが印象的でした。
こうやって抜粋してしまうとピンと来ないかも
知れませんが。

「よしもとばなな」になってからの小説を
いろいろ読んで来ましたが、これはその中でも
いい本だと思います。

主人公がちょっとありえないだろう、というような
おとぎ話のような仕事をしていたりすることはあるけれど、
でも彼女たちの周りになる現実は、やはり
私の周りにある現実と変わらず、
でもそこをスマートではないけれども、
着実に、確実に、前進しているところが
とてもいいな、と好感が持てました。

読売新聞で連載されていたのですね・・・。
ちょっと意外でした・・・。

それと、巻末に日本ロレックス株式会社の
(多分)社長からのコメントがあります。
彼が版画家の名嘉さんとよしもとさんを引き合わせたらしいです。
そういう文化的な、しかもどちらかといえば若い女性が
好みそうな小説家にも精通しているところが
西洋の会社の社長(たぶん)らしくて、これまた
意外、かつ好感が持てました。
畏怖する心 ★★★★☆
卒業旅行で南紀の海を見に行ったことがある。お風呂にはいったあと、涼みがてら宿の屋上から太平洋を見たのだった。夕暮れ前の静かな海を渡る風をうけていた。潮の匂いにのってソテツが揺れている。時間がゆっくり暮れていく長い水平線のその光景は今でも時々思い出す。 『海のふた』は西伊豆の海辺が舞台になっているので、太平洋の海が幾度となく思い出されるのだった。海を中心として大地や空に関わって再生していく人と人、そこには自然を愛し畏怖する心があるのだろう。
すぎる欲によって失ってしまうもの。 ★★★★☆
人間はすべての欲を失くしてしまっては生きられない。
しかし、その欲が過剰すぎてもまた、まわりのものたちのみならず、
自らさえもこわしてしまうことがある。
そんな、人間たちのすぎる欲によってこわされたり、傷つけられてしまう
人や自然に対する行き場のない怒りと悲しみと寂しさ。それを、別のプラスのエネルギーに変えて
生きていこうとするけなげで強い、ふたりの女のこの物語。
ただ、読んでいて、いったいこのはじめちゃんという娘はいくつくらいの子なのだろう?
と気になって仕方がありませんでした。ものすごく、幼いと思うわされる描写のところも
あれば、おませを通り越した、達観している目線に少女のような心をもつ老婆なのか?
とおもわされるところもあったり。もう少し、このはじめちゃんという娘の描写が
一貫していてもよかったように思いました。
名嘉睦稔さんの版画がとてもきれい。ただただ、感動!
小説の字の並びを、なぜ、あのように宙に浮いたように下にスペースを
あけたのでしょうか?なぜだか、あの字が宙に浮いた感じが、読んでいて、とても
ココロを不安定にさせられたのは私だけなのでしょうか?