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サイエンス・ビジネスの挑戦 バイオ産業の失敗の本質を検証する

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日経BP社
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バイオテクノロジー産業など存在しない。 ★★☆☆☆
ハーバード・ビジネススクールの教授の手になる本書であるが、どんな価値があるのか理解できなかった。

ここで言うサイエンス・ビジネスとは、民間企業が大学などと同じレベルで基礎研究を担っている分野を指し、具体的にはバイオテクノロジー産業を取り扱っている。バイオテクノロジー産業の黎明期に、UC Berkeleyで大学院生活を送った著者は、その後20年で、この産業が成功だったのか失敗だったのかを問う。

サイエンスに基礎を置くビジネスの特徴として、「リスク管理」「すり合わせ」「学習」をあげるのは良いのだが、その掘り下げ方には不満が残る。例えば、リスク管理でも、研究の初期段階の純然たる基礎研究に近い段階と、臨床試験に入った後の段階で、リスク管理がどう違うのかと言った点についての分析が見られない。

そもそも「バイオテクノロジー産業」というものが存在するのではなく、医薬品産業という大きなくくりのなかで、約40年前にバイオテクノロジーという「技術」が生まれたと見るべきだろう。この技術から、遺伝子組換えインスリンや抗体医薬などの画期的な医薬品が生まれた。

ジェネンテックやアムジェンなどの成功事例の分析から、サイエンス・ビジネスの将来像を描くのではなく、「バイオテクノロジー産業」全体を俯瞰することにどんな意味があるのか、最後まで理解できなかった。
結局、サイエンスはビジネスにならない ★★★★★
80年代に一世を風靡した「バイテク企業」。IPOにより、一夜に億万長者になった創業者もいました。しかし、業界の財務パフォーマンス検証すると、お世辞にも良いものではありません。バイオ株すべてを購入して、2001年まで保有し続けるとすると、利回りは10%(国債は12%、DOW株式だと21%)。しかも、その利益のアムジェンとジェネンテックがあげており、利益の93%は上位15社で占めています。勝ち組企業であっても、ちょっとした風向きのちがいで、失敗していた可能性がありました。成功の裏には、技術力と「運」が横たわっています。つまり、バイテク産業は、一部の会社がギャンブルのように成功するだけで、大半は失敗している。

この本では、なぜ、バイテク産業は儲けることができないのか?を検証します。

著者の結論は、「サイエンスはビジネスにならない」。しかし、成功の確率をあげるためには、組織と制度のイノベーションが必要だと説きます。この提案がこの本の価値です(しかし、たいしたことを書いているようには思えませんでした)。

近年、大学の研究にたいする国からの助成金が削られ、「大学で稼ぎなさい」という風潮があります。この本を読むかぎり、その戦略が成功するとは思えませんね。また、成功するためには、良い研究者を育成すると同時に、良いシステムを構築する必要があります。研究費を管理する企業、行政、教育関係の方に読んでもらいたいです。
08年最初の良書 サイエンスはビジネスのファンタジー! ★★★★★
 仕事上サイエンスビジネスと関係する事が多いが、常日頃感じていたサイエンスビジネスのもやもやが一気に解消された気がする。
 サイエンスビジネスとして、とくにバイオテクノロジーを中心に展開されているが、サイエンスと財務成績が評価基準であるビジネスとの相容れない関係を多角的視点で捉えている。勿論、サイエンスがビジネスにならないという内容展開・結論ではない。
 事実、私もビジネス側が想像する未来・期待を十二分にサイエンスは与えていると思う。今日のビジネスにとりサイエンスは、不可欠なファンタジー要素をもっている。ただ、そのファンタジーのからくりを知っておいて損はないとおもう。ディズニーの裏を知って、ファンを辞めた人は少ないはず。
新たな産業組織構造を作り出すために ★★★★☆
引用された文献や資料はやや古いが、論旨は正しく、政策担当者、各企業の企画担当者が議論する上で参考になる内容である。バイオ産業としてどのような有機的(生体的)構造を創るか、単なるmodule vs integralではないハイブリッドなものを考える必要があろう。
バイオ(製薬)産業に身をおく人間は必読! ★★★★☆
製薬産業の進むべき道を考察する上で、示唆に富む一冊。特に以下2点はコア・イシューとして認識しなければならないと考える。

第一、サイエンスビジネスには深刻な不確実性(一次的不確実性)がつきまとっており、かつ、この不確実性は、科学の進歩に伴い、恐ろしいことに、加速度的に増加していくこと。
第二、サイエンスビジネスは「インテグラル型」(すりあわせ型)であるにもかかわらず、「すり合わせる」べきジャンルはすべて相互依存的であり、かつ、急速に進化していること。

以上ともに、バイオ産業特有の課題ではなく、すべての産業に見られる要素、と考えるが、著者は、バイオ産業の場合は、「これらのインパクトは他産業と比較にならない」、と断言する

製薬企業が、短期的利益を得るため、ライセンス活動の条件闘争に没頭している現状を省みて、長期的利益に向けて、製薬産業が本質的な課題に目を向ける第一歩になりえる一冊である。