いとおしい1冊
★★★★★
1984年に単行本を購入しました。
低温で奏でる文体がいたく気に入り、
その年、
本好きの友人たちの、
誕生日やクリスマス、お祝いなどに
この本をプレゼントとして贈りました。
今もそばに置いておきたい“宝物”です。
私は「風が見えたら」が一番好きでした。
当時(恥ずかしながら)、
「風を見た」ことのあるいっぱしの大人として
斜めに構えて読んでいた気がします。
本書に登場する風を見たこともない一心不乱の若者の一人だったような・・・。
娘が色あせたページをめくっています。
「いい話だね」と。
この洒落た味わいを是非。
★★★★★
最初にこのエッセイ集を読んだのは多分、20年近く前だったと思います。
まだ大学生の頃でした。
旅先で久々に読み返しましたが、年月が過ぎても色褪せていないことを再確認しました。
読者の年代なりに味わいが少しずつ違い
同じ人が読んでも時期と年代によって感じ方が変わります。
この洒落た味わいが何とも懐かしいです。
是非、味わってみていただきいです。
旅のお供にお勧めしたい1冊です。
せっかくならば
★★★★★
こういった文章というのは書き手の人としての魅力が大きく反映されるものだと思う。沢木さんがとりとめもなく話すのを、講演会という形でだが一度だけ聞いたことがある。沢木さんは旅に出ると必ずおもしろい目に遭うというようなことを話されていた。たぶんそれは同じ時間同じ場所にいても必ずしも味わえる体験ではないだろう。沢木さんという一人の興味深い?魅力的な人間の存在が手繰り寄せる経験である。日々起こることに対する感受性が高い人でもありそうだ。
女性であっても「死んじまってうれしいぜ」にはひどくロマンを感じる。
男性ってあんまり恋愛にロマンを感じないのでしょうかね?と思わないでもないけれど、そういう違いをこれっぽっちの反感もなく読めるのはとてもうれしい。人間同じ一生生きるなら、物事に敏感に、こんな風に生きてみるのも素敵だなぁ。
沢木さんに乾杯!(もちろんバーボンで)
★★★★★
読んでいて心地よい文章である。
酒で言えば口あたりの良いといったところだろうが、これは文章だ。さしずめ、耳あたりのいい文章といったところだろうか。
それでいて最後にはちゃんとオチまでついていて、これまた後味がいい。
もちろん書いてある中身だって面白い。
これは私の個人的な感想だが、沢木さんの文体は夏目漱石を髣髴とさせる。のらりくらり書いているようだが、時には鋭い切り口を織り交ぜて読んでいる側を決して飽きさせない。
この本は夜に、ジャズのレコードでもかけながら読みたい本である。
もちろん、傍らにはロックのバーボンを置いておきたい。
深い
★★★★★
全ての話が面白いようにさまざまな話に展開していく。
決してばらばらな話になるわけではなく、計算しつくされた
作者のセンスと頭のよさを感じる。
特に「しんじまってうれしいぜ」という章を読んだ男性で
共感しない人はいないのではないだろうか。若いうちに一度、
そして壮年になったときにもう一度。深く読み込みたい書。
あなたの人生のお供に是非。