70年代ウェストコーストロックの出発点。
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バーズ9枚目の作品。14曲の未発表トラック集収録で2枚組CDとなっております。
今作品の特徴はライブ録音とスタジオ録音の構成になっていることです。
前々作からロジャー・マッギンとベテランミュージシャンで構成されたメンバーは
完全にライブバンドとなっており、(ギターのクラレンス・ホワイトの功績が大きいと思います。)
彼らの良さを存分に生かしたこのアプローチは正しい方向でした。
一方スタジオ録音も、ライブ録音に負けぬ勢いで続いていきます。
草原を思わせるマッギンの「Chestnut Mare」は爽快で、
「Truck Stop Girl」はクラレンス・ホワイトのせつないボーカルが身にしみます。
「Just A Season」は隠れた名曲です。どれも聴かせてくれます。
驚いたのはのは今作からベースで加入したスキップ・バッティンの「Well Come Back Home」です。
ロックなのに南無妙法蓮華経の連呼はかなりびっくりです。ある意味バーズを聞いた中で一番の衝撃でした。
(タイトルのないアルバム) とは...
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McGuinnによると、プロデューサーのTerry Melcherが -後でタイトルをつけるつもりで- 書類に(Untitled)と書いたんだそうです。「ところが どういうワケか、その書類がそのまま印刷所に行ってしまったんだ。」
(ジャケ正面の)Clarence Whiteと(階段に座っている)Gene Parsonsが開発したストリング・ベンダーが、本盤で初使用されています。その好例がtr.11で、ペダルスティールと殆ど区別出来ない音を出しています。
参考→ http://www.mitene.or.jp/‾dolphy/Bender/whatbend.htm
♪CD2は、CD1の逆配置で 1.〜6.がスタジオ録音・7.〜14.がFillmore East, 23-Sep-70でのライヴになっています。
○Lover of the Bayouのハーモニカ付スタジオ版
○Yesterday's Trainのベース無しテイク。
○Kathleen's Songのストリングスとコーラスのオーヴァーダブ無しテイク。
○Little Feet結成前にLowell Georgeが提供したデモに基づくWillin'(31-May-70録音。若干乱れがあるものの、美しいアコースティック・テイクです!)
あまり知られていない事実ですが、Truck Stop Girl[3-Jun-70録音]も同様に ByrdsがFeetより先に録音していたんです。Feetのセッションは、Aug-Sep '70.
この二枚組には、Derek Taylorによる'70年当時のライナーとJohnny Rogan, David Fricke氏の新規ライナーが載っており 内容・装丁ともにゴージャスです。
内容詳細は→ http://ebni.com/byrds/lpunt.html
後期バーズの最高傑作
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『MR.TAMBOURINE MAN』を初期の代表作、『SWEETHEART OF THE RODEO』を中期の代表作とすれば、後期の代表作は間違いなく、この『(UNTITLED)』でしょう。マニア的には、他にも多数の名盤があるのですが、初心者の方は、とりあえず、この3枚を聴けば十分です。気に入った方には、全アルバムを揃えることを、オススメします。楽しいですよ。
ど迫力ライブと叙情的なスタジオ録音による名作
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オリジナル(70年)はLP2枚組でライブ盤(1〜7)とスタジオ盤(8〜16)という変則的構成。本作は2000年リマスター盤でdisc1にオリジナル全曲を、disk2に全曲未発表音源を配した拡大盤。
ライブ・パートは、前々作から参加したブルーグラス界の名手クラレンス・ホワイトのギターがバッテンのぶっといベースとパーソンズのタイトなドラムを従えて、超絶技巧で縦横無尽に駆け巡るど迫力の演奏だ。シンコペーションを効かしたフィンガリングはRマッギンの12弦ギターを含むリズム隊と相まって強烈で絶妙なグルーヴを生み出す。スワンプ・ロック的な冒頭の1も良いが、過去のヒット曲を速いテンポで立て続けに演奏する3〜6の流れは圧巻だ。LPのB面すべてを使って発表された7は初期のサイケデリックな作品を16分余のインプロビゼーションで聴かせる。スタジオ・パートは、感傷的な名曲8(邦題「栗毛の雌馬」)で始まり、初期の作風に近い叙情味あふれる10や13などが聴き物。
未発表音源集のdisc2は前半がスタジオ、後半がライブ音源。スタジオ音源は、スタジオヴァージョンの3、別テイクの1、リトル・フィートの有名曲6のカバーがお勧め。ちなみに6を歌うパーソンズはローウェル・ジョージの親友で後に彼の葬式でもこの曲を歌ったという。ライブ音源はdisc1の迫力に対して、リラックスしたものが多い。ディランの曲が3曲、ザ・バンドの曲が1曲。
フォークロックから始まって、さまざまなスタイルを旅してきたこのバンドの最終到達点がここにある。近未来SF風のシュールなジャッケトも魅力的。個人的には紙ジャケで欲しい1枚。
Amazing BYRDS ! 決定盤 2CDs
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James Dean主演の映画「理由なき反抗」のロケ地として有名なL.A郊外 Griffith Parkの山頂にある「グリフィス天文台」の外部階段で撮影したメンバーの写真をアリゾナのモニュメント・ヴァレーの写真と合成したアルバム・ジャケット写真の印象が強いLP2枚組みのアルバムを一枚のCDに、そして本アルバム未発表テイクを別の一枚に収録したバーズ・ファン必唾・必涙の大感激CDセット。何がうれしいと言っても、Unissued に収録されているLowell Georgeの名曲 "Willin'"のアコースティック・バージョンや Woody Guthrieなどで知られる古いカントリー・ソング "Take A Whiff"の新しい解釈によるロック・フィーリングあふれるバージョンなど、バーズ・ファン必携アルバムです。