大団円(ネタバレを含みます)
★★★★★
このシリーズはイ・ヨンド氏の思想を色濃く反映した作品であったように感じます。
勿論仲間たちの掛け合いやアクションシーンなど素晴らしい見所は沢山ありますが、決してそれだけが主題ではないと思います。
文体は主人公の一人称ですが、素晴らしく聡明で優しくユーモラスな主人公の独白は非常に好感が持てます。
物語の山場における主人公を始めとした仲間たちの言動は非常に人間臭く、そして人としての尊厳に溢れており、目頭が熱くなる事も度々。
児童書にカテゴリーされたファンタジー小説ですが、主人公(=作者)の思想は普遍的でありながら非常に深く考えさせる内容であり、感銘を受ける事しきりでした。
年齢を問わず読んで欲しい、そして何度も読み返して欲しいシリーズです。
自らの手で種族の進化を成し遂げようとした大魔術師ハンドレイク。
上位者の支配を打ち破る事で人間の自主性が確立され発展を成すと信じた大王ルトエリノ。
"完全な個"であるドラゴン。
二人の道を辿りながら、その誤りを看破する主人公フチ・ネドバル。
そして感動のラストシーン。そこで作者から読者に投げかけられるもの。
イ・ヨンドという名の"竜"から人間への贈り物、哲学ファンタジー"ドラゴンラージャ"。
どうかご賞味あれ。