２０００年に出た本の新書版で、加筆修正プラス後日談書き下ろしが収録されています。
あまり面白くはありませんでした。
事件性を絡めながらも、その事件の解明自体は大部分省略されていて、智雪の能力について書きたいが為に考えた設定丸見え。
もう少し深く突っ込んであれば、もっと伏線の楽しみも出来て面白かったのにと残念。

全体を通して聡い読者なら至極客観的に読めてしまうでしょう。

人からうとまれてきた孤独な智雪ですが、彼の存在に切なさとか可哀相といった同情は感じられなかったのも、感情
移入できずに客観的に読めてしまう結果の一つ。
淡々とした物言いと姿の後ろに寂しい少年の影がうろついているのはわかるけど、このキャラ可愛い！と思う程ではない。
攻めの橘にしても、かっこいいけど、なんだか過去も現在も存在自体に厚みがない。
過去どうだったとか、こんなことがあったという小さな設定を広げ過ぎてしまい、全体にどういう人物なのか、何を言いたかったのかがボケてしまってます。

ベタな甘いＢＬ好きな方なら守備範囲でしょう。現実的な読者だと途中から飛ばして読みたくなるかもです。