読みやすい教科書、是非改訂版を
★★★★☆
バイロン・グッド「医療人類学講義」で、「本質主義的だ」、つまり、西洋医学を優れたものと見なして、その普及度から各国の医療水準を見ている、と批判されている本書ですが、なかなかどうしてそういう議論を気にせずふつうの読み物として眺める分には面白いです。まさに副題にあるように、世界の健康問題について一通りの知識を得ることができます。またあるトピックについてコラムというかたちで突っ込んだ記載がしてあるのも、理解を深めまた重要な箇所とそうでない箇所を分ける、という意味で、読者にとって親切な構成となっています。
原著は定期的に改訂される予定だそうで、2003年に第4版が出版されていますが、日本語についてもアップ・トゥ・デイトな改訂がなされるとよいと思います。期待を込めて四つ星。