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赤んぼう少女―楳図かずお作品集 (角川ホラー文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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エネルギッシュ・タマミ!!! 楳図×オーケン対談も収録した450ページ! ★★★★★
2008年12月。ある小さな版元から、18才で夭折した谷口ひとみさんという少女が遺した唯一の、そして伝説の作品「エリノア」が、小冊子のような形で刊行された。みにくい容姿をした女の子の、残酷で悲しい物語。その「エリノア」が掲載された『週刊少女フレンド』で、同じ時期に日本中の少女たちを恐怖のどん底に叩き込んでいた楳図先生―ちなみに「エリノア」が載った号では「へび少女」を連載中だった―が、同誌で連載した「赤んぼう少女(連載時のタイトルは「赤んぼ少女」)」「黒いねこ面」「怪談」の3作品を一挙収録したのがこの文庫。初版が1994年で、2008年8月までに17版を数える、堂々のロングセラーとなっている。印刷が美しく、紙の質もいい。カラー口絵つき。
それにしても表題作―これもまた“みにくい容姿をした女の子の、残酷で悲しい物語”といえよう―の実質的なタイトルロールであるタマミとは、なんとたくましく、エネルギッシュな少女だろうか。そのやるせない情念のたぎり。彼女のバイタリティーの向かった方向は根本的に間違っていたかもしれないが、それでも「こんな風に、ダイ・ハードに生きてみたい!………できれば。」と、人としてまだまだなオレなんかは思うわけである。
「黒いねこ面」も「怪談」も、それぞれ魅力的な作品で、先生も単に本能のおもむくままに怖がらせるだけでなく、恐怖と笑いとの間で絶妙なバランスをとるなど、きちんとエンターテインメントとして成立させているのがすごいと思う。そのあたりの、作り手としての心構えなどは、巻末に収録された楳図先生とオーケンこと大槻ケンヂ―彼が中心的存在であるバンド・筋肉少女帯には、タマミが登場する「マタンゴ」という楽曲があり、その冒頭に登場する「のろいの館」とは、「赤んぼ少女」が初めて単行本化された際のタイトルでもある―との対談の中でもうかがい知ることができる。
いまになって読むと… ★★★★★
 初めてこの作品を読んだのは、小学生の時でしたが、恐くて夜も眠れない程でした。当時は絵の怖さばかりに目がいってしまい、内容を疎かにしていました。そして、今読み返してみると…タマミちゃん、とてもかわいそうです。特に口紅を塗ってみて、鑑を見ながら、似合わない、かわいくない自分に対して涙ぐんでる所なんかは、こちらも泣きそうでした。外見がみにくく、世間からはじかれ、その結果精神が歪んで行く、という肯定は、現代社会においても山のようにある事です。最後に、バチがあたるという事で死んでしまいます。作者はこの作品を通じ、他人にはやさしくしなくちゃだめだよ、いじわるすると、こうなるよ、という事を言いたかったのでしょう。しかし、漫画的要素(キバがある、手が醜い、成長がとまる)が無ければ、こういう事実は、日常十分にありうることだな、と思いました。
1960年代作品とは思えない、イマジネーションと映画的な描写力 ★★★★☆
この名作選、やっと入手できました。

赤ん坊少女=タマミちゃんは、思ったより
怖いキャラではなく、どっちかって言えば、こんな姿で生まれて
かわいそうです。醜い者が、美しい者を徹底的にいぢめる、と
いう、ある種のねじれたカタルシスを得られて、おもしろい作品。

『赤ん坊少女』では、田舎に行ったあたり、バッグの中に忍び込んで・・
あたりから、ちょっと話がだれてきましたが、ギロチンみたいな
台が出てきたあたり、楳図先生、こういう仕掛け研究してたんだな、
という妙な感心をしたりして読んでいました。

『黒いねこ面』は、本文庫の多くのページをさいている中編で、
時代劇の化け猫屋敷ものが、後半、時を経て現代の復讐劇に
展開する、という、当時の少女漫画のレベルを凌ぐ、壮大な劇画
になっていて、私のお気に入りです。壁に塗り込められた多数の・・
という発想もすごいけど、コマ割や表現、描写が、今どきの
ハリウッドB級ホラー映画もかくありなん、と思えるほど、その先進性
先見性は、驚異的なものがあり、楳図先生の天才にびっくりします。

貴重な1冊で手元にいつまでもおいて、また時々読み返したい
作品です。
現代に息づく化け猫騒動 ★★★★☆
佐賀鍋島藩の化猫騒動に着想を得たと思われる「黒いねこ面」。多くの著者が物語化しているが、楳図版では黒猫を介して数百年後の現代で復讐を企てる。妻が当時のあらすじを覚えていたのですが、タイトルが分からずに探していて、ようやく見つかりました。
その他、得体の知れない不気味さと哀しさが漂う「赤んぼう少女」、最後の最後にどんでん返しが待ち構えている「怪談」と併せて全3作を収録。
おどろくべきキャラクター ★★★★☆
「赤んぼう少女」は短編であるが、楳図かずおの極めてユニークな作品の一つである。悪のヒロイン、タマミは天才楳図かずおにしか描けなかった驚異のキャラクターだ。

赤ちゃんという普通は可愛らしさの同義語である存在をもって、このような恐ろしいグロテスクな怪物に描きあげたところが、なんとも凄い。それでいながら、このタマミにはある種奇妙な可愛らしさやユーモラスなところもないことはないのだ。このあたりに作者がずっとこだわり続けることになる、子供についての直観や見識をうかがうことができる。

全体のストーリーは薄幸な生い立ちの美少女が遭遇する恐怖の体験という昔ながらの少々陳腐な内容だが、対する怪物タマミの存在によって不朽の作品になったように思う。惜しむらくはタマミがこれ一作で消えてしまったことだ(実は「恐怖」シリーズ中の一篇で唯一コマ、タマミがでてくる。どの作品なのかは探してのお楽しみ^^)。

他の収録作では「黒いねこ面」が充実している。初期の丸い描線による作品だが、伝統的な化け猫話しをモチーフとしながら、楳図ならではの怪奇と幻想の世界を描き出している。