すばらしいサスペンスの名作!!!
★★★★★
低予算の早撮りで取られた小品ながら、本作は全く見事、素晴らしいクライムサスペンスとなっている。サスペンスのファンは、買って損はない名作。ともかく展開が速く、物語は緩むことなく一気にぐいぐい進行する。『ニーベルンゲン』『メトロポリス』といった大作の監督だったラングが、競争が厳しく、作品の嗜好が違うアメリカに亡命してもなお、厳しい制約の中で映画をとり続けることのできたことが頷ける。いつものラングのスタイルと随分印象が違うが、これぐらいの監督になると、この水準の作品はきっちり撮ってしまうことができるのである!!!ひょっとしたことから殺人事件に巻き込まれ、動揺し、苦悩し、自分で自分を追い詰めていくヒロイン、アン・バクスターが見事な演技。見ている側もヒロインに感情移入してどきどきしてしまう。脇役も個性的で素晴らしく、生き生きとして、リアリティーが溢れている。とどめは、タイトルにもある『ブルー・がーディニア』、伝説のナット・キング・コールが本人役で出演して、全盛期の見事な声を聞かせてくれる。