著者の誠実さを感じました。
★★★★☆
決してがっついてなく、読書についていろいろなことが
丁寧に書かれています。
テクニック的に何か目新しいものを求めている人には
あまり得られるものは多くないかもしれませんが、私は
読書をする意味についてあらためて考えさせられました。
なんでもデジタルの時代にあえてアナログな方式を推奨するのは
ある意味画期的ともいえますが。
これを読んでいろいろと気づかされたこともたくさんありました。
著者の真面目で正直な人柄にも好感が持てました。
質を重視した読書のすすめ
★★★★☆
読書に関する本というと、最近は速読術を駆使して
年間に数百冊読む(と豪語する)人たちの速読テクニック本が流行りだ。
本書はそれらとは真逆の立ち位置から、
クオンティティ(量)ではなく、クオリティ(質)を重視した読書の重要性を説いている。
また、読書の質を高めるための本の選び方や時間の確保の仕方について
誰でもやろうと思えば実践できる具体的方法として示している。
その方法には、結果として速読テクニック本に記述されているものと類似したものもあるし、
即効性が求められる現代には「流行りでない」と感じる人が多いだろうものもある。
しかし、それでも私はこの本を速読テクニック本の読者にこそ勧めたい。
著者のあくまで質を重視する姿勢には、現代だからこそ学ぶべき価値があると思う。
「本」と「読書」を考えるにあたって
★★★★★
一気に読み終えた。読後の感想は以下3点である。
一点目。著者が 速読を否定し 精読を肯定している点が久しぶりに新鮮だった。
精読を勧める精神は 日本の伝統に則っている。古くは四書五経の素読のように とにかく良い本を読み込めという文化が日本にはあった。たとえば 福沢諭吉の「福翁自伝」を読んでも痛感するが 明治維新と「読書」の関係は強い。「福翁自伝」に出てくる適塾での「読書風景」が そのまま維新と その後の明治の力になったことは間違いない。維新の志士は 別に刀を振り回しただけではない。相当の読書を 精読という形で行ってきたはずだ。
最近の 妙な速読ブームに対する著者の警鐘と福沢諭吉の自伝には通底している面がある。僕はそう読んだ。
二点目。本書は ある意味で愚直なまでに具体的である。
「どのように本を読むか」というテーマは十分に古典的である。色々な方の 色々な「読書論」があることは 本屋に行けばいくらでも理解できると僕は思う。その中には 精神論に近いものも多いが 著者の提案は非常に具体的である。正直 そこまでご自身のやり方をネタばらしされなくても良いのではないかと思うこともあったが そこに著者の誠意がある。本を読む技術というものは確かにあるし その技術を知っているか いないかで 大きな差が出ることも想像できる。著者の具体的な説明には 読者へのエールが響いている。
三点目。読書において 書店の重要性を著者は指摘しているが賛成だ。
書店の「魔力」というものは 確かに存在する。実際 書店の中を逍遥している中で いかに素晴らしい本に出会ったかを考えてみると その「魔力」が良く分かる。僕は 書店には「本を売るという産業」としての「書店」と 「本があるという場」としての「書店」という二つの顔があると思う。前者は ネットでも代替できるが 後者に関してはネットにとっては大きな課題になるはずだ。
ということで 大変 「本」と「読書」を考える機会になった。
精読によって実り多い人生を!!
★★★★★
三輪氏は現役商社マンとして仕事をこなす傍ら、ビジネスマンに参考になる書物を多く現してきた。
三輪氏の著書の特徴は「大変読みやすく誰でも意志があれば実行可能な方法を紹介する」というところにある。本書もそのような趣旨に沿って書かれていると思われる。
三輪氏は「会社の仕事として」のみならず「人生をより深く実り多く生きるために」という広い視野に立った読書を紹介している。
本書で三輪氏が述べている内容の要旨としては、
1.世の中は今、非常に目先の効率優先が目立つ。しかし大切なのは目先だけではない土台のしっかりした視野の広い論理的思考ができるという事ではないだろうか。
そのためには速読ではない質の良い読書によって自分の血肉を培養する必要がある。
2.しかし本は、あくまで読者自身が考えるための素材であって、考えるのは読者自身である。自分で深く考える事ができるようになれば仕事と人生が豊かになる。
3.そのための情報選択およびノートの活用法をどのようにすべきであろうか。
というような内容を核として述べておられる。
本書は「書物から栄養を養う方法」を現代に提示した「真の読書論」とも言えるのではないだろうか!