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風に乗りて歩むもの (ガガガ文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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老探偵の活躍 ★★★☆☆
 知っている人ならばタイトルを見ただけで分かることかも知れないが、クトゥルフ神話のイタカを下敷きとして、孤高の私立探偵兼タクシードライヴァと、命を狙われている少女の逃避行を描いている。(ちなみにボクは、ラヴクラフトの書いたものしか読んだことがないから分からなかった。)

 開園前の世界的テーマパークで遊ぶ、大富豪の娘たち三名は、ローラーコースターに乗ることにする。しっかりと安全装置をつけてスタートしたものの、ゴールした時に乗っていたのは二名のみ。このテーマパークのオーナーの娘であるサマンサが消えていた。
 通報を受けて駆けつけた主任警部マック・アローニは、いたずらと誘拐事件の両面から捜査を進めるが、一緒に遊びに来ていた少女の一人、グラニットが襲撃される可能性を考慮して、元相棒でタクシードライヴァのボギィに目的地までの護衛を依頼する。
 果たして襲撃を受けるグラニットとボギィの二人。襲い来るコンボイや、銃を持った襲撃者たちをかわしながら、無事に目的地まで到着することができるのか?そして、サマンサが消えた謎の答えとは?

 主人公の一人であるボギィがクトゥルフ神話を知らないので、それを知らなければ楽しめないということはない。しかし、秘密がある方がハードボイルドで恰好良い、という姿勢のもとに書かれている気がするので、不要に思える秘密がいっぱいあり、どこがメインなのか読んでいて良く分からなくなる時もある。加えて、周知のことなのかどうか分からないが、作中人物たちが前提としている事項がとある人物の素性に大きくかかわっているにも拘らず、最後まで説明されていない。
 しかし、こういう要素を作品の謎として受け入れてしまって、その雰囲気を楽しめる人には面白いと思う。
かっこいいオヤジと少女、それだけで買いに値する ★★★★☆
イントロ:
 元警官、現タクシードライバーのH・ボガード。
 ある日彼は、旧知の地元警察の警部から少女の護送を依頼される。
 少女の素性、行き先は言えないというふざけた要求であったが、ポンと支払われた報酬は目を見張る額。
 どうやら訳ありらしい。
 ひとまず依頼を受けて車を走らせるボギィだったのだが・・・。
売れ筋?萌え萌え?そんなもん知ったことかよ!
著者のそんな矜持から生まれた異色作。

本作はライトノベルに馴染みがある人なら『奇跡の表現』『ドラグネット・ミラージュ』(コップクラフト)に当たらずも遠からずな作品と考えていただければしっくりきそう。
そうではない人にはざっくりとだが、映画レオンを年の差カップルではなく親子愛に変じたものでもイメージしていただけると良い。

というわけだが、本作の舞台はアメリカの端っこ、カナダとの国境沿いにある五大湖がひとつヒューロン湖が舞台。
その湖に浮かぶマニトウ島にある世界的テーマパークで妙な事件が起こり、現場に居合わせたのが護送対象となる少女グラニット。
しかし、事情聴取の終わった少女をただお家へ帰してあげるだけのはずだったボギィの仕事は、何者かの襲撃を皮切りに困難の様相を呈し始める。という物語。
初老のがさつなおっさんと育ちの良さそうな令嬢──但しツンケンした傲慢タイプのお嬢様でもなければ、殊更世間はずれな天然娘というわけでもなく、普通にしていれば本当にただの10歳そこそこの女の子──という親子以上に歳の離れた組み合わせが魅力的。

また、テーマパークで起きた事件の真相もさることながら彼女の素性に関しても「やんごとない」人物であることを除き不明なまま進行するストーリー。
二つの要素を備えたミステリーでもある。
ただ、ミステリー部分の仕掛けや犯行動機などはそんなことがあるだろうか?とやや首をひねらなくもないところがあり、ミステリー慣れした人にはやや物足りないか。

それよりもやはり本作は、段々と擬似親子的に関係を深めていく二人の物語として見てこそのもの。
初老のおっさんと少女。
この取り合わせにピンと来ただけで買いの一手に間違いなし。
これが男のガガガ文庫だ!…っぽいモノ ★★★★★
 ↑のタイトルは、ラブでスィートでアキバな物語を要求する編集氏に「うるせいやい、これが男のガガガ文庫だ!」とツッパったという趣旨の著者あとがきから取っています。

 著者の言うように、本作の内容は決してラブでスィートでアキバな物語ではありません。どちらかというとハードボイルドなミステリー小説です。

 ボギィは「ベトナム帰り」の元警官にして私立探偵兼タクシードライバーの独身中年。グラニットは上流の家庭に育ったちょっと訳ありの日本人少女。本作の舞台は、米加の国境に広がる五大湖の一つ、ヒューロン湖に浮かぶ島。グラニットの友人が、自身の父が経営する遊園地で謎の失踪。ストーリーは、その失踪事件を中心に展開します。最初はグラニットがボニィを警戒して自身のことや事件のことを話さずにいたのですが、一緒に逃亡を続けるうちにお互いの感情が変化していきます。
 敢えてテーマを考えると「親子」というところでしょうか。

 このようなジャンルの本はほとんど読んだことがないのでそれに関する善し悪しはあまりわかりませんが、全体的にハードボイルド、ミステリー、ハートウォーミングな話がバランス良く配置されており、ミステリー部分に関しても私的にはそこそこ面白かったです。(<ミステリー好きな方にはどうなんでしょうか?)
 個人的に、横文字の名前はアタマに入りづらく最初の方は取っつきにくかったのですが、何だかんだ言って続きが気になり一気に読めました。
 ラノベ特有のテンプレなラブコメに飽きた人やヘタレな主人公が嫌いな人にとっては十分楽しめる作品ではないでしょうか。