「官僚」という言葉にとらわれないで
★★★★★
タイトル通りこのドラマの主役は今、あまりイメージがよくない「官僚」と呼ばれる人たちです。
でも、ここに出てくる官僚たちは違います。一人ひとりが自分なりの信念を持って懸命に働いています。
そして、考え方は違っても「日本という国を良くしたい」という熱い気持ちを皆、持っています。
どんなに辛い事があっても自分の信念、熱い気持ちがあればこそ、乗り越えていけるのだと感じました。
ただ、惜しむらくはドラマが面白いと感じてきたのが第三話からだった事。
一話・二話も悪くなかったのですが「このドラマは毎回一話完結なの?」と思うような終わり方で
「この続きはどうなるのだろう?」という、次回が待ち遠しい感じがなかった事が
視聴率があまり高くなかった原因の一つではないでしょうか。
第三話からは毎回続きが気になって一週間がとても長く感じられました。
やはり全体を通してみればとても素晴らしいドラマだと思いますので星五つです。
熱い
★★★★★
DVD-BOXを買ったのは初めてです。
こんな重厚なドラマは他にありません。
硬派な良質の政治ドラマ
★★★★★
このドラマは、視聴率のために恋愛的な要素を混ぜたり、不自然にスキャンダラスなストー
リーを挿入したりするようなことは一切せず、ほとんど官僚と政治家のみを登場人物にして、
政治や政策に関わる対立や葛藤を正面から取り扱っており、非常に好感が持てる。アメリカの
ドラマ「ザ・ホワイトハウス」をやや彷彿とさせる。
このドラマの優れたところは、政治的な物事の善悪を単純化することなく、国の政策を決め
るにあたって、どんな政策にもメリット・デメリットがあり、現実の政治は、そうしたせめぎ
あいの中で動いてきたのをよく表現しているところであると思う。
主役側として設定されている国内産業派の言い分は、正しそうなこともあるが、輸入規制に
より日本の苦手な分野は保護しろ、(成長産業・衰退産業問わず)とにかく日本の産業を守れ、
といった主張や、国際関係のことは一切気にかけない姿勢、公害の時の鈍い対応などから、視
聴者が、単純に彼らに共感するようには作られていない。
また、いくら通産省には日本の産業を育成する責務があるといっても、通産省がここまで産
業界に肩入れし、また、自由競争を無視して、産業界にこんなにも介入しているのがいいので
あろうか、という疑問を、そうしたやり方の弊害も知っている現代の我々なら持つことだろう。
このように物事の両面を表現している点で、かなり公平で実直なドラマであると言える。
しかし、国内産業派が庶民を思う情熱家としてよく描かれ、国際通商派が概して自己の地位
や権力を欲する未熟な人間のように描かれているのはいかがかと思ったが...。
とはいえ、炭鉱の事故の時の苦渋の決断などのシーンはすばらしかった。
演技は総じて優れていたが、その中で堺雅人の演技は、唯一わざとらしすぎるように感じた。
とても残念なことに、視聴率は低かったようであるが、これからも、こういうドラマをがん
ばって作ってもらえればと思う。
う〜ん、なんだろう、この違和感は・・・
★★★☆☆
城山三郎原作を元に、よく練られた脚本・当時の風俗をきっちり再現した見事なセット、ジャニーズやイケメン(笑)など入り込む隙のない豪華芸達者な俳優陣による、非の打ちどころのない演技と演出と、どう考えても大人の鑑賞に耐えうる稀有なドラマとなるはずだったのに、なんだろう、どこで歯車が狂ったのか、どうにも感情移入できず、「う〜ん」という感想なんだよね。
いや、確かに力の入った、良質のドラマであり意欲作だとは思うけどね、何と言うか、現実の政治や行政というものは、「あちらを立てればこちら立たず」で、全ての人が、諸手を挙げるような政策などない以上、佐藤浩一扮する風越サイドの、国を思う一途な思いというのは伝わってくるものの、その時々の局面判断においては、国際派サイドや、“翻弄している”はずの政治家サイドの方が、長期的に見れば正しいんじゃないか?、とか思えてしまう場面があるわけですよ。
まぁ、単なる“勧善懲悪”的な、安っぽいドラマにしなかったところは大いに評価したいところだけど、見る側の“価値観”とか“思想信条”みたいなものが、このドラマの正当な評価にとって邪魔になるところがあるのかもしれないね。視聴率が全てではないにしても、その辺が如実に出てしまったかもね。どうにも食い足りなかったんだよねぇ…。
悲しい・・・
★★★★★
悲しい・・・。
先日衆議院選挙が行われ民主党が勝利し、約50年続いた自民党政権が終わった。
この選挙の関心は高く、投票率も高かった。
「これからの日本はきっと変わる」とこの結果をみて思ったのだが、本作「官僚たちの夏」の視聴率を見ると疑問に思えてくる。
本作は日本の底力や日本人が日本人でいられれることへの誇りを持たせてくれるメッセージが発せられている。
その一方、政治家や政府への痛烈な批判も込められている。
「経済発展で生まれた一番のひずみは日本人の『精神』ではないでしょうか?」「日本人が日本人であることの誇りを持てる国造りをしなければいけない」
毎回ドラマが終わると、「今自分たちに求められていることはなんだろう?」「今の日本は本当に『豊か』といえるのだろうか?」など、さまざまなことを考えさせられた。
今、日本人が考えなければいけないことが多く詰まっているドラマである。
このドラマを見てすべての人は奮起しなければいけないのに、平均視聴率一桁とは、本当に悲しくなってくる。
今回の選挙で見られた盛り上がりはしょせん一時のことだったということだろうか?
「良い国造り」をしていくためには政治家だけでなく、大衆も含めたすべて国民で考えなければいけないことだ。
そのことをこのドラマを見て学ばされた。
放送期間中見ていない人はDVDになったらレンタルでもいいので見てほしい。
そして考えてほしい。
真の意味での『豊かな国』を・・・。