偶然の長期休暇
★★★★☆
正直なところ、物語の出来としてはイマイチ…でしょうか。
池澤夏樹さんのほかの作品と比べると。
大切な部分が抜け落ちていたり、いろいろ精査されていない感じは否めません。
わざなのかもしれませんが。
でもこれだけするりと突っかかりがなく読めて、気持ちのいい空気を味わえるなら
全く文句ナシな気もします。たとえば、旅行の時に持ち歩くとか。
個人的にはけっこう好きですね。
仕事でちょっと疲れてる男性の、深夜帰宅時に読む本としてオススメしたいです(笑)
気持ちのいい清涼感が味わえるのでは◎
突き抜けるような清々しさと、ほろ苦い切なさのある作品
★★★★★
久々に読み返した、池澤夏樹の処女作。
この人の作品は総じて初期のものの方が好きなのだけれど、
中でもとりわけ、この作品が好き。
どういえばいいんだろう。
清冽。
瑞々しい。
懐が大きい、かんじ。
それでいて繊細。
冒頭部分、島の夕陽の描写が限りなくうつくしい。
彼岸への漂流
★★★★☆
池沢夏樹のデビュー作。マグロ漁船から海に転落した主人公が孤島に漂着し、文明と切り離された自然の中で、「生」そのものが手段から目的へと転化されてゆくことに僥倖を見出す。細密な描写と叙情的な語り口によって読み手を豊穣な世界へと誘う。都市文明の宿痾を背負った大物俳優マイロン、身体の神秘に違和感を抱くミランダ、自然の代弁者である精霊たち。主人公「ヤシ」は彼らを鏡とし、自らの文明人としての意識を相対化してゆく。南国の風物描写に加えて、「ヤシ」の心の揺らぎがしなやかに活写されており見事だ。
マーロン・ブランドは冥界へ
★★☆☆☆
~ロビンソン・クルーソーになった日本人記者orカメラマンの話なんだけど。途中まではいいよ。どこか、捕鯨船が難破した話にも似ているけど。でも、またまた同作家の書いた「スティルライフ」みたいに、途中でトーンダウンしてしまうんだな。リアルワールド、現実世界にどうぞ!という感じで。別に、別荘がある無人島にヘリで通ってくるマーロン・ブランドに会わ~~なくたって、いいんじゃない?椎名誠風に、そのままガシガシと自然と戯れていればいいのに。マーロン・ブランドも冥界に旅立ったんで、今はこれでよしとしようか・・・。~
現代の漂流記
★★★★☆
無人島にたった一人流れ着いた主人公。
自らの力で生きることを知り、徐々に自然の中で
暮らして行くことを認めていくようになるが、、、
生きる力を発見していく主人公を通して、
自然と文明社会との対比を鮮やかに描きながら、
単なる批判に終わらせず、未来への希望を感じさせる。
夏の青空のように透きとおった文章が、爽やかな風を運ぶ。
読み終わった時、自分の居場所がやけに騒々しく
感じてきた。