2種類の短編というのが、第1部の世阿弥による呪禁道と、第2部の闇源氏こと退魔師・源霞のお話。どちらも主人公が眉目秀麗な青年であるところが共通項で、この筆者が書き続けていきたいシリーズなんだそう。幽玄で魅力的なキレのある短編が連作になっていて、面白いです。ホントに、ぜひ書き続けてシリーズが充実してくることを期待します。
第3部の中篇は比叡山延暦寺中興の祖である良源大師の魔道退治。コレは歌舞伎の演目にもあるお話で、青衣の美女が竜になって天に帰るところは共通ですが、小説には妖しい気配が濃厚で読み応えありました。
短編集としては、中途半端になったシリーズものを寄せ集めたようにも見えるんですが、どれもいい話なので、これを機会にそれぞれ独立していくといいなぁと期待しています。