英語学習については多くの本を読んだが、この本ほどきちんと実際の観察に基づいてしかも総合的に書いた本はみたことがない。ことばの習得を扱うものであるから、内容を理解するためには、文法的な知識も必要だが、著者は親切におさらいしてくれているのでとても助かった。

著者の文法事項のおさらいもユニークでそれだけでも面白いと思ったが、内容を読み進むと、子供であっても、こんなに苦労するのかと改めてびっくりした。本質的にみて、英語学習では、大人も子供も変わりはないようだ。物事はひとつひとつ学ぶものであることをしみじみと感じる。

巷では、やれ、小学校から英語をやるべきだとか、いや、やってはならないとか、英語教師同士が論争しているという。そんな議論に時間を浪費するよりも、まず、この本をよく読んで、英語を学ぶことはどんなものかをよく知るべきだ。そうすれば、それぞれが日々の英語教育をよくできるだろう。

この本のなかには、こころを打つことばや、思わず目からうろこがとれるようなことが満ち満ちている。内容がわかると、まさに、ダイヤモンドやルビー、サファイヤがいっぱいの本だ。この本は、読む人によっては、何千万円もの価値があるかもしれないし、日本の教育界とビジネス界全体については、莫大な価値があると確信する。