★BCP・BCMで解り難いBIA分析と、構築後の運用方法の実践的な作業手順書⇒BCP・BCM事務局向き!
★★★★★
BCP・BCM研究家でコンサルタントの昆正和氏が、BCP関連書籍4冊目を書き下ろした。
BCP・BCM関連に関心ある身から書評させてもらうが、目次から見てもココまでBCP・
BCM手法を公開した類書はない!
ISO品質・環境・情報セキュリティ等の審査員・審査機関・コンサルタントの方々は、景気低迷
の中で生き残りを賭けて先行するISO31000(リスクマネジメント)シリーズと共に経営資源を
『BCP・BCMのISO化』に標準を当てている。
国内大手企業を中心としてBCP・BCM策定済みの企業のBCM所管事務局やISO導入済み
組織の事務局にとっても、先行しているBCMSのBS25999、これからISO化が検討されて
いる(2012年春?)業務継続のBC?、社会セキュリティ?の名称のISO22301等の動向に
目が離せない。
同時にBCP・BCM構築済みの企業にとって運用面での手詰まり感(中弛み?)で戸惑いを
隠せない、5月病の様なこの時期にタイミング良く発売されて心憎い。
今般、昆正和氏と共に、共著のもう一人は業界関係者ならばご存知かと思うが、ISO27001
(ISMS)やBS25999のコンサルティングでは多くの支援実績がある小山隆氏だが、本書は
開発したBIA分析ソフト“事業継続中断リスク可視化ツール(BCoRViT)”の書籍版と聞いている。
どこから読んでも良い内容だが、同氏のISO27001とBS25999を対比した本書の第6章は
圧巻であり、BCP・BCMの『BIA分析は、BCPの真骨頂』故に、ISO関係者やBCP・BCM
関係者ならば座右の書としたいお奨めの1冊!
また、BCP・BCM担当者ならば喉から手が出る程欲しい『BIA関連のテンプレート』が無料で
ダウンロード出来るなんて、これまで高い費用を払ってBCP・BCMコンサルティング会社に構築後の
サポートを依頼する前に、景気低迷で予算付けが厳しいこの時期は、姉妹書の『新版実践BCP策定
マニュアル』(これも無料ダウンロード付き)と共に購入してみること。
まずはBCP・BCMに自社で取り組むなり、自前でBCMの運用(机上訓練・見直し等)をやって
みる事をお奨めしたい。また、個人のコンサルタントによる本書をベースとしたテンプレートが横行
すると思うが、形から入ると弊害が生じるという功罪があり、コンサルタント諸氏は注意されたい。
一般的にBIA部分を秘密主義しているBCP書籍としては“よくも此処まで手の内を明かすものだ”
と嬉しいやら呆れるやらの下馬評で、またどうも下馬評だけではすまないBCP・BCM関係者から
間接的な“圧力”があったようで、言論の自由に対する挑戦で断じて許しがたい。
要するにここまで手の内を明かされた書籍が出回っては、自分達にとり高額のコンサルティングフィーが
取れないので都合が悪く、いわゆる“BCP・BCM業界から抹殺しよう”という訳である。
すなわち大手上場企業・グローバル企業もBCP・BCMを構築していてもここまではやっていない
のが現状である。
ISO化を目前にしてBS25999やISO27001のリスクアセスメント応用の事をやられて
は困るのである。BCP・BCM構築済み企業は、この書籍をまとめ買いしてBCP・BCM所管が
解からなければ昆氏・小山氏を講師にお願いして、ISO化の前に運用・見直しを他のISOの様に
完全に自前でマネジメントシステムを回せる様にする事である。
出来れば統合マネジメントシステムの中に組み込む事である。情報セキュりティISO27001
とは双子のシステムといって良い。かかる理由で星4つ★★★★は返上したい。
それだけBIA分析・リスク分析(RA)、103頁にも及ぶ実践的な訓練方法の具体的なやり方
報告書の書き方(テンプレート付き)などの画期的な“種明かし”をした、公開貢献度は星5つ
★★★★★の書籍といえる。BCP・BCMマーケット(市場)では、トレンド的な需要の前に
先に供給側として“早く世に生まれ過ぎてしまった”書籍であるが、こんな実用的な書籍を
数奇な運命にさせてはならない。
BCP・BCM所管事務局としては、小山氏の文章が淡々とビジネスライクに述べているので、
字ずらだけを追う事無く、自社組織の指標に置き換えてTOOLを作り直す、その際「何故か」
問いながら、あるいは各組織のBIAシートのカテゴリー・リソースごとの項目・レベル指標の
見直しの参考に十分役立つ。
一例をあげれば、35頁の業務活動の表2.4図だが書籍の都合で縦横組み替えてあるので、
180頁がエクセル上の表である。また、35頁では外部サービス以下は業務活動で利用している
ものなので区分けが必要になる。そこまで読む必要があるので使い慣れるまで“図表”をサラッと
見ない事である。
本書が「実践的な各論編」だとすれば、姉妹書の『新版実践BCP策定マニュアル』は「総論編」に
あたり手放せない。その理由はISOの類書が“ベストプラクティス”といったステイタスにブランド化
した解り難いのもが多い中で、大中小零細企業を問わずどの組織でも取組めるBCP・BCM本質論の
オーソドックスな手引き書として実用性重視に終始一貫しているせいだろうか。