「ボランティア」プロパガンダ解体新書
★★★★★
表紙のエッシャー作「バベルの塔」が,本書の内容を象徴している。
神の領域である天まで届くバベルの塔を作ったために,
人間は神に罰せられ言葉が混乱して人間同士で意思疎通できなくなったことが
旧約聖書に記されている。
巷に溢れる「ボランティア」という言葉によって,
人間の善意に基く福祉社会の実現といういわば理想的社会が到来したと思ったら,
大間違い。
「ボランティア」の意味の多義性,歴史性を考慮しなければ,
「ボランティア」概念が混乱して,共通理解は得られない,
それはあたかも神に罰せられた昔の人々のように
と,筆者は言いたいのではないだろうか。