ヒーリング感覚でも聴けるクラシック音楽
★★★★★
このアルバムは、実質的には「アダージョカラヤン」シリーズの3作目に当ります。
カラヤンの残した膨大な録音の中から、とりわけ美しく、穏やかな演奏・曲目を抽出して収めていて、聴く者にはクラシック音楽でありながらもヒーリングという感覚をも与えているようです。
このアルバムでも、その意図するところは前2作と同様で、カラヤンの演奏には本当に美しいものがあります。今回、録音年代は61年〜84年と幅広いところから選ばれていますが、古い録音のものでも音質は良く、バランスを欠くことはありません。曲目においては、モーツァルトの「アイネ・クライネ・・・」を除いては、すべてロマン派以降の曲目から選ばれているのですが、とりわけ名演奏はチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」とマスカーニの「交響的間奏曲」でしょう。いずれの曲もカラヤンは曲の持つ性格に合せて本当に旋律を美しく奏でています。ベルリン・フィルの弦もカラヤンの要求に精一杯応えているようです。
こうした企画は概して、‘入門用’とか‘ブツ切れ’クラシックとして、その愛好家からは嫌われる運命にあるようです。しかし、時間のない人たちやヒーリング的な音楽を求める人たちにとっては、こうした音楽はかけがえもなく素晴らしいものだろうと思います。
まあ、このシリーズは数を出し過ぎた感もありましたけどね、ホント・・・。