珠玉のアルゼンチン音楽。録音もすばらしくオーディオファンにオススメ!
★★★★★
Sera una Nocheというのはアルゼンチンのグループ。バンドネオン、ギター、チェロ、パーカッションが基本となり、それに持ち替えの木管楽器、女性ボーカルが曲により様々な組み合わせで登場する。タンゴ、ミロンガその他の伝統的なアルゼンチン音楽を、フリーインプロビゼーションを交えて演奏している。インプロビゼーションがあるとはいえ、ジャズではない。クラシック・ファンの方にもとっつきやすいと思う。
レーベルはMA Recordings。米国出身のタッド・ガーフィンクル氏(日本在住)が自ら世界中を巡って録音する。自然な音響空間でのワンポイント録音にこだわるオーディオファイル・レーベルである。
まず女性ボーカルの入った3曲目を聴いて欲しい。チェロがピチカート双方でベースの役目を果たし、ギターとクラリネットがイントロを奏でる。各楽器の実在感と豊かな響き。そして真ん中からすーっと入ってくる女性歌手の声の美しいこと。シンプルながら見事な歌唱力に身震いしてしまう。その声のリアルさは驚異的だと思う。各楽器の演奏者の実力も相当なものだ。
教会の建物の自然なエコーが極めて重要な役割を果たしている。まるで7人目の演奏者のように。14曲目では大太鼓のような(?)パーカッションが活躍するのだが、空間全体に響き渡ってすごい迫力。他にもハイライトはいくつもある。特に木管楽器奏者はハーモニカ、クラリネット、バスクラリネット、口笛と多彩な音を聴かせてくれるし、曲によって色々楽器の組み合わせやリズムが変わるので飽きさせない。
大音量で、部屋を暗くして(あるいは目をつむって)聴いて欲しい。このCDはあなたを別世界に連れて行ってくれるだろう。