数少ない下水道に関する理論書。ともすると下水道は「経験工学」などといわれる（というか、それを誇りにしている人が多い)が、そう思う方はこれを是非お読みいただきたい。ただし、あてはめの指南書ではないのでご注意。ここに書かれているのは設計ならびに管理する際に必要な理論的な内容であり、考え方。また、出来れば物理の考え方を身につけて読まれるとさらによい。さらに言うならば、記載されている公式類を自分で導出するとさらによい。下水道は他の工学と同じ「経験」に基づく工学で、「体験工学」ではない。複雑な現象も単純な現象の積み重ねである。理論は管理するための目標であり、最終解答ではない。惜しむらくは、反応工学的な扱いの生物処理ではなく、微生物学的な扱いの生物処理の記述があるとさらに充実すると思量する。読んで納得したら、次は慣れる作業がまってます。