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失われた町

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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設定が面白い ★☆☆☆☆
行政区画単位で、ある日突然住民が全員消滅する。
このオカルト現象は『町』と命名された何かが、何らかの意思を持って行っている(と、推測されている)。
導入部は興味深かったのだが、原因の解明とか、どのような方法でオカルト現象を防止するのかといったSF的な観点で読んでしまったので全く楽しめなかった。
小難しい単語や風変わりな風習が沢山出てくるが、それっぽさを出すための小道具であることが分かってくると、読んでいて恥かしくなる。たぶん、この本の対象年齢から外れているからだろう。

特別な力を持った天才や選ばれた人々が、共感不能なことで悩んだり、調子に乗ったりする村上春樹的な小説。
あらすじに騙されて買っちゃ駄目だよ。
読んでいて恥ずかしくなる ★★☆☆☆
人物設定から行動までステレオタイプすぎる上、陳腐。
おそらく村上春樹なんかに影響されているのか。

自分の音楽センスを披露したがる、
無駄に小難しい単語を使いたがる、
呼称にこだわってしまう、
淡々とした物語にしたがる、
一途な愛を表現したがる。

なにか同人作家の小説を読んでいるようで
イライラと同時に恥ずかしいような気分を覚えた。

ただ、それさえ我慢すれば物語としてはうまくまとまっているし、
構成も巧みだと思う。

ライトノベルから卒業したい、そんな中高生にオススメ!
といった一冊。

作者の発想力に驚嘆 ★★★★☆
三崎さん作品の、独特の世界観が大好きです。
現実にはありえない世界なのにお役所言葉が超現実的なせいか、完璧な空想の世界とも思えない錯覚に陥る感じがたまりません。
中でも、この「失われた町」は、ブックデザインも含めて一番のお気に入りです。
文庫も発売されましたが装丁がフツーなので、ハードカバーを購入した満足感を持ちました。

…ただ、あまりに「突拍子もないプロローグ」から始まりので、その世界に入り込めるまでに時間がかかりました。
何度か読み返してようやく全体の繋がりが理解できた感じでしたね。
「SEKISO KAISO=石祖開祖」の人物像とか…思わず相関図を作ってしまいました(笑)。

あと、桂子さんと脇坂さんのエピソード部分が、どれも好きではありません。
あまりにもSF的で「絶対にありえない出来事」なので…せっかく「現実に程近い架空の世界」感を醸し出していたのに、ちょっと残念でした。

でも、最近読んだ他の作家さんの小説に比べたら、私の中では断トツで一位です。
久しぶりに「しっかり楽しませてもらった!」という読後感を持ちました。
好き嫌いがはっきり出る作家さんだと思いますが、私は彼の発想力に毎回驚かされています。
紡がれる人の想い ★★★★★
1つの町の住民を一度に消滅させる現象が30年ごとに起こる世界。
そして、その現象で大切な人や人生を奪われた人達が、それでも希望を失わずに
前に向かって進んでゆく姿を、複数の登場人物にスポットを当てながら紡がれるお話。

物語は、この謎の消滅現象に対抗すべく組織された「管理局」が、今正に起ころうと
している消滅現象を防がんとする場面を造語満載で描いた「プロローグ、そして
エピローグ」からいきなり始まります。

正直、読み始めで「ついて行けねぇ・・・」と一瞬挫折しかけましたが、しかし、
そこを堪えて読み進めるうちに、全く原因不明の現象を食い止めるべく様々な傷を
負いながらも手探りで少しずつ手がかりを掴み、消滅阻止へ向け前進する管理局の人々
そして彼らに係わる大切なものを失った残された人たちの、希望を失わずに強く生きる
姿に静かに胸を熱くさせられていきます。
そして、最後にこの「プロローグ、そしてエピローグ」を読み直すと、何ともいえない
万感の思いが胸一杯に広がります。

また、全体的に穏やかな筆致ながら、消滅を完遂すべく働く「町」の強大な意思や、
それを象徴する歪んだ月の存在など、読む側にその異質な力と恐怖がしっかりと伝わる
描写が上手いと思いました。

最後に、お掃除のおばさん、あなた何者!?!?
少しずつ解明されていく謎 ★★★★☆
およそ30年に1度、町が消えようとするのに巻き込まれて一緒に住人も消えてしまうという「消失」。家族を失ったもの、恋人を失ったもの、町の消失からは逃れたけれど「汚染」された存在となったもの・・・。それぞれが悲しみを胸に生きつつ、同じ悲劇が起きないよう、さまざまな手をつくしていくという話。

とても静かで、とても悲しい話でした。読み始めは何を言っているのさっぱりわからなかったものが、ストーリーが進むにつれて明らかになっていきます。

この話の秀逸なのは、「エピローグ、そしてプローグ」、「プロローグ、そしてエピローグ」と題された始まりと終わり。全部読み終わった後に、もう一度「エピローグ、そしてプロローグ」が読みたくなる。ああ、なるほど!!だから「エピローグ、そしてプロローグなのね!」と。

なんだか、心の中にジーンと残るお話でした。この人の描く世界ってほんと独特。おもしろかったです