前作『フットプリンツ・ライヴ』はエネルギッシュな演奏が印象的だったけど、これはじっくりと構想を練り、入念にスタジオ録音した作品。ダニーロ・ペレス、ジョン・パティトゥッチ、ブライアン・ブレイドを伴ったレギュラー・カルテットを中心に、曲によってブラッド・メルドーやテリ・リン・キャリントンらが参加、さらにオーケストラも一部加えた大所帯による演奏は、一言で言って壮大な音絵巻といった感じだ。選曲も興味深い。というのも、常にオリジナルで勝負するウエインが、ここでは意外な曲をカヴァーしているからだ。リロイ・アンダーソンの<2>、ヴィラ・ロボスの<4>、ケルトの伝統音楽<7>、中世の聖歌<9>といった曲がそれだが、こういうのはこれまでになかった新境地といっていい。伝統的なジャズにはこだわらず、脱ジャンル的な指向を深めるウエインは、同時にオーケストレーションにも強い関心を示しており、これはその成果を世に問う作品。サックス奏者としてはもちろん、アレンジャーとしての力量も存分に発揮している。(市川正二)
永遠性から出てくる喜び--- Alegria
★★★★★
『「Vendiendo Alegria」という曲は60年代の半ばに、マイルス・デイビスが私に楽譜をくれた曲で、
私のマイルスへの40年後の回答がこれだ。このタイミングを大切に思っている』とショーターは語っている。
91年にマイルスが逝去したとき、
「これからいったい誰がジャズ界に新しいアイデアを提供するのだ?」とプレイヤーたちが嘆息した。
ショーターが「このタイミングを大切に思っている」のは、
行き詰まりを感じさせてきたジャズ界に、デ・コンポーズという新しいアイデアを提供したということ
ではないのだろうかと勝手に考えている。
その真偽はともあれ、かつてのマイルスが果たした役割を、今やショーターが果たしているのは間違いない。
このアルバムでは、自作曲は半分で(SacajaweaとCapriconUはショーターがなんと
18,9のときに作った曲だそうだ)、クラシック、フラメンコ、聖歌などが選曲されていて、
バラエティに富んだ内容になっているが、すべてが消化され、ショーター独自の世界を築いている。
初のライブ・アルバム“フットプリント”を聞いた人には、静かなアルバムに聞こえるかも知れない。
個人的にはパーカッションとチェロが主導する、「4.ブラジル風バッハ第五番が好きだ。
ときに、まるで哲学者のようにしゃべるショーターは、次のように語っている。
「音楽にはDNAがある。私が書き続けているということもいえるが、
その実、音楽にあるDNAが育ち続けるといった方が真実に近い。人間と同じで成長を続けるんだ」
七〇歳を越えて、いよいよ天才と世間から仰がれるようになった彼には、
もっともっと活躍して、素晴らしいサウンドを作ってほしいと思う。
永遠性から出てくる喜び--- Alegria
★★★★★
『「Vendiendo Alegria」という曲は60年代の半ばに、マイルス・デイビスが私に楽譜をくれた曲で、私のマイルスへの40年後の回答がこれだ。このタイミングを大切に思っている』とショーターは語っている。
91年にマイルスが逝去したとき、「これからいったい誰がジャズ界に新しいアイデアを提供するのだ?」とプレイヤーたちが嘆息した。ショーターが「このタイミングを大切に思っている」のは、行き詰まりを感じさせてきたジャズ界に、デ・コンポーズという新しいアイデアを提供したということではないのだろうかと勝手に考えている。
その真偽はともあれ、かつてのマイルスが果たした役割を、今やショーターが果たしているのは間違いない。
このアルバムでは、自作曲は半分で(SacajaweaとCapriconUはショーターがなんと18,9のときに作った曲だそうだ)、クラシック、フラメンコ、聖歌などが選曲されていて、バラエティに富んだ内容になっているが、すべてが消化され、ショーター独自の世界を築いている。初のライブ・アルバム“フットプリント”を聞いた人には、静かなアルバムに聞こえるかも知れない。個人的にはパーカッションとチェロが主導する、「4.ブラジル風バッハ第五番が好きだ。
ときに、まるで哲学者のようにしゃべるショーターは、次のように語っている。
「音楽にはDNAがある。私が書き続けているということもいえるが、その実、音楽にあるDNAが育ち続けるといった方が真実に近い。人間と同じで成長を続けるんだ」
七〇歳を越えて、いよいよ天才と世間から仰がれるようになった彼には、もっともっと活躍して、素晴らしいサウンドを作ってほしいと思う。
(ショーターの絵画の才能がプロ級であることや、軍隊に徴兵されていたとき、射撃の訓練ではいつも百発百中だった腕前をもっていたことは、あまり知られてない。そして、16歳で初めてサックスを持ったことや、ニューヨーク州立大学でチャーリー・パーカーに音楽を学んでいた時期に、彼の後年のほぼすべての曲の原型ができていたことも。)
生きる事のアレグリア
★★★★★
2004年来日のカルテットのライブのときに、そのときの演奏が理解できなくて、彼の最新作を買ったら、分かるようになるのかなと、何も知らずに買ったアルバムですが、こちらは大編成もあり、雰囲気も異なり、ただひたすらに美しいアルバム。
どんなに初めはいいと思った作品でも、聴きすぎて、たまに飽きたり聞きたくなくなる事が僕にはあるのですが、このアルバムについてはずっと定期的に聴いています。彼の想像力が操るオーケストレーションと自身のサックスの不思議さ、美しさが心を捉えてやまないからだと思います。伝統音楽や、彼の昔の曲をより創造的にアレンジしているところなど、音楽に対する愛情も感じられます。
ライナーノーツの中川ヨウ氏による感動的な彼へのインタビューも読む価値があると思います。
ウェインショーターらしい音楽
★★★★★
ヴィラ・ロボスに、ケルトの伝統音楽に、中世の聖歌。。そして彼のミステリアスな曲。選ぶアーティストも、ブラッドメルドーに、テリリンッキャリントン、ブライアンブレイドにダニーロペレスにアレックスアクーニャと、リズムにもメロディにも凝った布陣。おまけに小編成のオーケストラ付きだけど、やっぱり少し変わったアレンジ。キャスリーンバトルとか、リンカーンセンタージャズオーケストラとの仕事で知られてる、ロバートサディンですね。"ハイライフ"のアンプラグド版とも言えなくはないが、もっとぶっ飛んでいる気がする。僕は、ヴィラ・ロボスのやつとケルトのが一番気に入ったし感動しました。
味のある作品
★★★★★
今回初めて、歌なしのジャズCDを買ってみました。ジャズ初心者なのであまり細かいことは分かりませんがすごく良かったです!
かまえずに聴けるし、ハイクラスな感じなのだけど音とリズムが体と心にすんなり自然に染みこんでいく感じがしました!深みがあって、何度聴いてもあきません。
知識がなくて申し訳ないのですが、知識がなくても味わえる作品であることは間違いないです!