受験時代の恩師「数学のザビエル」福井先生全国デビューの書である。

福井敏英先生は北海道の河合塾で教鞭を取っておられるが、丁寧な板書・解説と「言葉の大量破壊兵器」の名に恥じない毒舌で常に人気の講師である（当時）。

本書は著者のバックボーンのためか北海道大学の問題が多く収録されているが、他書のようなアクロバティックなところのない良心的な問題集だ。曰く、「エレガントな解法でも、君たちが絶対に使えないものはダメでしょ」。受験生が解けるようになるべき問題を本当に精選してある辺りが、東京に籍を置き「こんな簡単な問題載せてるよ笑」と調子に乗った受験生に言われるのを恐れて非現実的な問題・解放を収録してしまう講師たちと一線を画している。

自分は数学を専門とする道に進んだわけではないが、師に数学を教わり説教を受けることで、つまらない人生ではあるが遠回りしたことにも意義があったと、そこまで思う講義をしてくれた。師の今後の活躍を願うとともに、このレビューを見た学生諸君には是非書店で一度手に取ってみてほしい。

…とは、福井Tの師である大学受験数学界の神様、清水先生の御言葉。10年前から師を超えたと受験生の間で評判だったが、札予備が滅び、いつのまにか本を出していたとは!?高校生が考え得る範囲内で、厳密さとは何か?自明とは本当に明らかなのか?と問い掛けるその姿勢は数学そのものである。数学が得意でない受験生を、現実的にどこまで、どう解くかというスタイルで難関大に合格させていくその講義は、衛星授業で知名度のある有名講師や東大数学の単科ゼミとは一味違う職人業である。入試問題正解速報で、YゼミとS台の解答例に対するツッコミが僕は好きでしたね。微積の授業はなかなか凄いです。内容的には河合塾の麻生Tの本に近かった気もするけど。現在は同業だが、義理で買っておきます。見てないけど期待してますので、星4つで。