内容に勝るものなし
★★★★★
前回の「若葉城の秘密」編に続いての第2弾「由比正雪」編の
貸本向け単行本全5冊の「完全復刻」。
横山光輝の代表作と言われ続けているだけあって、今現在
読んでもワクワクするストーリー展開はエンターテインメント
そのものの面白さ。
ただ、これだけのすばらしい復刻なのに、ケチがついてしまった
のは残念。
どういうことかというと、この復刻版BOXセットに入っている
第3巻の巻末に2ページ(1枚)の抜けがあったということ。
発行元の小学館クリエイティブに問い合わせて得た回答を
まとめてみた。
(現在では事情が同社のHPでも説明されている。)
・今回の復刻に際しては、横山光輝氏の光プロダクションから
提供された原本を使用して制作した。
・今回、読者からの指摘によって、復刻本に抜けているページが
あることが判明し、その光プロ所蔵の原本にも該当のページが
もともと抜けていたことも判明した。
・その後、複数の同じ単行本を調査したところ、同様に該当の
ページが抜け落ちているものが多数あり、「初版」として発行された原本は
すべて、原本発行元の東邦図書出版の編集ミスにより、その
該当ページが存在しないことが分かった。
・ただし、該当ページがちゃんと入っている原本もあり、
こちらも調査の結果、再版以降の訂正された版のものであることも
分かった。
ということになる。つまり、「落丁」というのは正確にいうと間違いで、
原本を十分に吟味しなかった復刻版の版元の「編集ミス」というわけ。
しかし、原本の「初版」が全てそのような不良品であるということは、
これまでまるで知られていなかったことであり、今回の
不備で、版元の小学館クリエイティブを責めるのは酷というもの。
同社のHPにも記されているとおり、近日中に出来上がる抜けページ
のない完全な本と交換してくれるそうである。
この復刻版の発行を楽しみにしていたファンも多いと思うし、
ガッカリ感は否めないが、今回の問題への対応も素早かったと思うし、
内容はすばらしい本なので、たいへん満足している。
二度と同じようなミスがないようにしてもらえれば、それでよいと思う。
横山漫画の醍醐味を味わえる、十分買う価値のある本だと思う。