ひとまとめになって・・・・
★★★☆☆
それ以前の発刊では、全2巻だったはずだが、これは分厚く一巻にまとまってしまった。(たぶん)
たぶん、と打ったのは、それ以前に刊行されたものを読んだ事がないから。
この作品が書かれた頃、時代は、まだ差別というものが明確になっていなかった。そして筆者も自分の置かれた環境に憂いていたとあとがきにあった。
可愛い少女の表紙に引かれてリボンの騎士のような話を想像して後悔した。暗い始まり方、いきなり出てくる怪物じみた顔・・。この怪物の顔を持った人物と、可愛い顔の少女とは、差別されるものの象徴だ。
異質である。
それが差別を引き起こす。
その差別によって起こる悲しい現実のなか、誰も助けてくれるものはない。
心の中は絶望だらけ。
たまに誰かが手を差し伸べても、それは利用されるためだけ。
それでも生きようとする、ゆえに、破壊する。
破壊の結果は、悲劇にしかならない。
作者も指摘しているとおり、救いのない悲しい作品である。
☆3つにしたのは、ダークな作品だから。
個人的には、嫌いではない。
この話をよんで、ふと鉄腕アトムの、似たような設定が主人公のお話を思い出した。
そっちもまた悲しい話だった。