ほろ苦さの溢れる大人のラブ・ストーリー
★★★★★
マーティン・スコセッシは音楽監督でもある。そんな思いをさせてくれた作品である。ストーンズのセミ・ドキュメンタリー、70年代の『ラスト・ワルツ』更にはそれ以前の『ロミオとジュリエット』全て音楽が効果的に画面を引っ張っている。この作品でもそれを十分に感じさせる。
今ではビッグ・アップルの代名詞ともなっている主題曲そして“Time goes around the world”はライザ・ミネリのコンサートでもしばしば歌われる隠れた名曲である。
第二次大戦の終結から間もないニューヨーク。二人の男女はそれぞれの思いを戦争によって時間を止められていた。そして再びの出会いが時の流れとそれぞれの人生を動かし始める。画面を見ていて感じたのは“切ない思い”だった。ショービジネス界への階段を登っていくライザ・ミネリの姿が『スター誕生』のバーブラ・ストライサンドにそのまま二重写しのように重なる。ステージへ続く階段を上がっていく一人の女性の後ろ姿をカメラがとらえるシーンである。一方、そうした姿に淡い思いを寄せている男の姿は見ている方が辛い。互いの手が届く距離に居ながら二人の男女の間には埋めることの難しい溝が横たわっている。距離が近ければ近いほど、思いが強ければ強いほど互いに相手を大切にしたいから気持ちの上での溝は深くなっていくもどかしさ。ライザ・ミネリの歌声とロバート・デ・ニーロのサックスは二人の姿を象徴的に表現している。大物スターのさり気ない自然な演技で作られた作品である。
見るのが苦痛なミュージカル・・・
★★★☆☆
スコセッシ監督がタクシードライバーで一躍有名になり、次にハリウッドで大金かけてメジャー路線で撮ったミュージカルですが、インディーズで注目されて次にメジャーで撮る作品は殆どの監督が失敗するように、スコセッシも例外ではなかったようです。彼独特の重厚な演出でデニーロの熱演やミネリの歌など、非常見ごたえはあるが、こんな重い見ていてまるで楽しくならない話をミュージカルで・・というのがそもそも無理がある。タクシードライバーをミュージカルにしたような違和感がある。しかもやたら長いが、こんな展開で長尺では観客のほうがいい加減疲れてくる・・・という心踊らないミュージカルとなっています。まあ、スコセッシのミュージカルというのは知らない人には新鮮ではありますね。ただ、暗さと重たさがミュージカルと水と油ですが。
ニューヨーク。
★★★★★
この映画は、映画館で観たかったなぁと。と悔しくなるほど
素敵な映画でした。
いつか、自宅にミニシアターセットを購入したら
真っ先に観たい映画です!
大好きなライザ・ミネリと、
「タクシードライバー」のマーチン・スコセッシ監督、ロバート・デ=ニーロのコンビ。
これは、文句なしに最高でした!
特に、ラストシーンの舞台上で歌うフランシーヌ(ライザ・ミネリ)は鳥肌ものです。
同じくマーチン・スコセッシ監督がメガホンをとった
「ラスト・ワルツ 2枚組特別編 限定仕様版
」もオススメです。
今では二度と観ることのできない豪華アーティストの競演は、ホント必見です!